去勢・避妊

犬の去勢・避妊を考える

去勢・避妊、いつする?
手術前に知っておきたいこと

「去勢・避妊はした方がいい?」

「何歳でするのがいい?」

「手術をすると太りやすくなる?」

「手術をしない選択には、 どんなことを考えておけばいい?」

去勢・避妊について調べると、 さまざまな考え方や情報があり、 迷ってしまう飼い主様も 少なくないと思います。

去勢・避妊は、
「全ての犬に同じ答え」があるものではありません

性別。 犬種。 体格。 年齢。 成長の状態。 健康状態。 暮らし方。

それらを一緒に見ながら、 愛犬にとって適切な時期や方法を 獣医師と相談していくことが大切です。

このページでは、 手術を勧めること、 あるいは手術をしないことを 勧めることを目的にはしていません。

去勢・避妊を考えるときに 知っておきたいことと、 手術を受ける場合の ご家庭での見守り方を 一つずつ整理していきます。

そもそも、
去勢・避妊手術とは?

犬の去勢・避妊手術は、 繁殖を防ぐことなどを目的として行われる 外科的な処置です。

一般的には全身麻酔下で行われます。

男の子

一般的な去勢手術では、 精巣を摘出します。

精巣の位置や 健康状態などによって、 手術内容が異なることがあります。

女の子

避妊手術では、 卵巣を摘出する方法や、 卵巣と子宮を摘出する方法などがあります。

どの術式を行うかは、 動物病院や愛犬の状態などによって異なります。

「避妊手術=必ず卵巣と子宮を全部摘出する」 と決まっているわけではありません

愛犬にはどの術式を予定しているのか、 手術前に獣医師へ確認してみましょう。

なぜ去勢・避妊手術を、
考えるの?

去勢・避妊を検討する理由は、 ご家庭によってさまざまです。

  • 望まない繁殖を防ぎたい
  • 生殖器に関係する病気のリスクについて考えたい
  • 発情に伴う管理について考えたい
  • 同居犬との生活を考えたい
  • 将来の健康管理について獣医師から提案を受けた

一方で、 手術には全身麻酔や外科処置が伴います。

また、 生殖腺を摘出することによって 性ホルモンの状態も変化します。

だからこそ、
「メリットだけ」 「デメリットだけ」で決めないことが大切です

愛犬の場合に 何が期待でき、 どんな点を考慮する必要があるのか。

その両方を確認してから 判断していきましょう。

手術をすると、
身体の中では何が変わる?

精巣や卵巣は、 生殖だけに関係している器官ではありません。

性ホルモンをつくる 重要な役割も担っています。

そのため、 去勢・避妊手術によって 性ホルモンの状態が変化します。

ただし、 ここで注意したいのは、

「性ホルモンが変わる= さまざまな病気が起こる」 と単純には言えないことです

手術後の健康との関連については、 犬種、 性別、 体格、 手術時期などによって 結果が異なることがあります。

そのため、 「去勢・避妊をしたからこの病気になった」 と一つの原因に決めつけず、 気になる変化があれば その変化自体を動物病院で確認することが大切です。

去勢・避妊のメリットとリスクは、
愛犬ごとに考えます

去勢・避妊には、 繁殖を防ぐことに加えて、 一部の生殖器疾患を予防できるなどの 利点があります。

一方、 全身麻酔や手術そのもののリスク、 手術後の体重管理、 犬によっては長期的な健康との関連について 考慮する必要があります。

大切なのは、
一般論の「良い・悪い」ではなく 愛犬の場合にどう考えるかです

犬種。

性別。

成犬時の体格。

現在の年齢。

健康状態。

繁殖予定の有無。

生活環境。

そうした条件を含めて 獣医師と相談していきます。

「何か月で手術するのが正解?」
一律の答えでは考えません

去勢・避妊について調べると、 「○か月までに」 「初回発情前に」 など、 さまざまな情報を目にすると思います。

しかし現在は、 すべての犬に対して 一つの月齢だけを当てはめるのではなく、 犬種や成犬時の体格、 性別なども含めて 手術時期を考えることが重要とされています。

「早ければ早いほどよい」
「遅ければ遅いほどよい」
と一律には決めません

愛犬の犬種、 成犬時の体格、 性別、 成長の状態、 健康状態などを確認しながら、 手術時期を相談していきます。

特に成長期の犬では、 身体がまだ発達している途中です。

そのため、 「何か月になったから自動的に手術」 と考えるのではなく、 愛犬の成長と将来の健康を含めて 獣医師と相談することが大切です。

小型犬と大型犬で、
手術時期の考え方が違うことがあります

犬は、 犬種や成犬時の体格によって 成長のスピードが異なります。

小型犬と大型犬では、 身体が成熟していく時期も 同じではありません。

また、 去勢・避妊の時期と 将来の健康との関連を調べた研究では、 犬種や性別によって 結果が異なることも報告されています。

「友達の犬がこの月齢でしたから、
うちの子も同じ時期」 とは限りません

同じ犬でも、 犬種・体格・性別などによって 考慮する点は変わります。

女の子では、
発情との関係も確認しましょう

女の子の避妊時期を考えるときには、 発情周期も重要な情報になります。

初回発情の前なのか、 すでに発情を経験しているのか。

現在発情中なのか。

犬種や体格、 年齢などと合わせて 手術時期を相談します。

「初回発情前なら必ず正解」
「初回発情を待てば必ず正解」 と一つに決めつけません

乳腺腫瘍など生殖器に関連する疾患のリスクと、 成長やそのほかの健康上の要素などを含め、 愛犬の場合にどう考えるかを 獣医師と相談してください。

男の子も、
「何か月になったら全員同じ」ではありません

男の子についても、 犬種や体格、 成長の状態などを含めて 去勢時期を考えます。

また、 精巣が陰嚢内へ下りているかどうかも 確認しておきたいポイントです。

片方または両方の精巣が 陰嚢内に確認できない場合には、 潜在精巣などについて 獣医師から説明を受けることがあります。

健康診断のときに、
「精巣は両方とも正常な位置にありますか?」 と確認しておくのもよいでしょう

去勢すれば、
困った行動は全部なくなる?

去勢を考える理由として、 マーキング、 マウンティング、 放浪しようとする行動などを 気にされる飼い主様もいます。

性ホルモンが関係している行動では、 去勢後に変化することがあります。

しかし、 犬の行動は 性ホルモンだけで決まるものではありません。

学習、 習慣、 不安、 興奮、 環境など、 さまざまな要因が関係します。

「去勢すれば性格が変わる」
「問題行動が全部なくなる」 と考えないことが大切です

行動について困っている場合には、 どんな場面で、 いつから起きているのかも含めて 獣医師へ相談してください。

手術日を決める前に、
今の健康状態を確認します

去勢・避妊は、 健康な犬で計画的に行われることも多い手術です。

それでも、 全身麻酔と外科処置を行う以上、 手術前の健康確認は大切です。

動物病院では、 診察や必要に応じた検査から、 麻酔・手術を行える状態かを確認します。

  • 最近の食欲や元気
  • 嘔吐・下痢がないか
  • 咳や呼吸の異常がないか
  • 現在使用している薬
  • サプリメントやハーブ製品
  • これまでの病気や手術歴
  • 過去に麻酔を受けたことがあるか
  • そのほか現在気になっている変化
手術直前に体調を崩した場合は、
「予約したから」と無理に手術へ進まず 動物病院へ連絡してください

術前検査は、
何のためにするの?

手術前には、 年齢や健康状態、 動物病院の方針などに応じて 血液検査などが行われることがあります。

これは、 「去勢・避妊が必要かどうか」を 血液検査で決めるためではありません。

麻酔や手術を行うにあたり、 今の身体の状態を確認するためです。

「どんな検査をするのか」だけでなく、
「何を確認するための検査ですか?」 と聞いてみましょう

手術を決める前に、
獣医師へ確認しておきたいこと

  • この子の場合、今の時期を勧める理由は何ですか?
  • もう少し待つ場合に考えられることはありますか?
  • 予定している術式は何ですか?
  • 女の子の場合、卵巣のみですか?卵巣と子宮ですか?
  • 男の子の場合、精巣は両方とも正常な位置にありますか?
  • どのような麻酔を予定していますか?
  • 術前検査は何を行いますか?
  • 手術当日の食事と水はどうしますか?
  • 日帰りですか?入院ですか?
  • 術後の痛みはどのように管理しますか?
  • 抜糸は必要ですか?
  • 運動はいつから再開できますか?
「みんなやっている手術だから」 だけで終わらせず、
愛犬の手術について理解してから 当日を迎えましょう

去勢・避妊を考えるとき、
まずここまで整理しましょう

  • 去勢・避妊は一般的に全身麻酔下で行う外科手術
  • 女の子の避妊手術には複数の術式がある
  • メリットだけ、リスクだけで判断しない
  • 性ホルモンの変化とすべての病気を単純に結びつけない
  • 手術時期はすべての犬で同じとは限らない
  • 犬種・性別・体格・成長などを含めて時期を考える
  • 女の子では発情との関係も確認する
  • 男の子では精巣の位置も確認する
  • 去勢だけですべての行動問題が解決するとは限らない
  • 手術前には現在の健康状態と麻酔について確認する
「去勢・避妊をするか」だけでなく、
「この子なら、いつ・どの方法で行うのか」 まで考えることが大切です

愛犬の犬種。

性別。

成犬時の体格。

現在の成長。

健康状態。

生活環境。

それらを獣医師と一緒に確認しながら、 愛犬に合った選択を考えていきましょう。

手術前日。
まず確認したいのは食事と水です

全身麻酔を受ける前には、 食事や水について 動物病院から指示が出ます。

ただし、 「前日の夜から絶食」 「水は朝まで大丈夫」など、 具体的な時間は 病院や愛犬の年齢・健康状態によって 異なることがあります。

インターネットで見た絶食時間ではなく、
手術を受ける動物病院からの指示を 優先してください

特に子犬や、 持病のある犬、 薬を使用している犬では、 個別の指示が出ることがあります。

指定された時間を過ぎて 食べてしまった場合も、 隠さず動物病院へ伝えてください。

いつもの薬やサプリは、
手術当日も使っていい?

普段使用している薬がある場合には、 手術当日の朝も使用するのか、 休薬するのかを 事前に確認してください。

サプリメントやハーブ製品を 使用している場合も同じです。

「薬ではないから関係ない」 と考えず、
普段口にしているものを 動物病院へ伝えておきましょう

商品名や成分が分からない場合には、 パッケージや写真を見せる方法もあります。

手術当日の朝は、
「いつもと違うこと」がないか確認します

手術当日は、 愛犬の様子を一度確認してから 動物病院へ向かいましょう。

  • 元気はあるか
  • 嘔吐していないか
  • 下痢をしていないか
  • 咳や呼吸の変化はないか
  • 食べてはいけない時間に食べていないか
  • いつもの薬をどうしたか
  • 発情など前回の診察時から変化がないか
体調に気になる変化があれば、
「せっかく予約したから」と黙って預けず 必ず病院へ伝えてください

「健康な子だから、
麻酔は絶対に大丈夫」ではありません

去勢・避妊手術は、 健康な若い犬で行われることも多い手術です。

それでも、 全身麻酔を使用する以上、 リスクがまったくないわけではありません。

そのため、 手術前の診察や検査、 手術中の状態確認、 麻酔から覚めるまでの観察などが 大切になります。

不安なときは、
「麻酔中は何を確認していますか?」 と聞いても大丈夫です

分からないことを確認してから 愛犬を預けることも、 手術前の大切な準備です。

去勢・避妊も手術です。
術後の痛みは我慢させるものではありません

手術後には、 痛みを抑えるための治療が行われます。

帰宅後にも 鎮痛薬などが処方されることがあります。

犬は、 痛みを言葉で伝えることができません。

  • じっとしたまま動きたがらない
  • 落ち着かず何度も姿勢を変える
  • 震える
  • 傷口をしきりに気にする
  • 触ろうとすると嫌がる
  • 食欲が戻らない
  • 普段と違う鳴き方をする
痛そうだからと、
人用の鎮痛薬を自己判断で与えないでください

痛みが強そうな場合には、 手術を受けた動物病院へ相談してください。

帰宅したら、
まず静かに休める場所を

麻酔から覚めて帰宅しても、 その日のうちは 眠そうだったり、 普段より動きがゆっくりだったりすることがあります。

病院から帰ってきたことがうれしくて、 興奮する犬もいます。

しかし、 手術直後は 身体を休ませることが大切です。

  • 静かに休める場所を用意する
  • 階段の上り下りを避ける
  • ソファやベッドから飛び降りさせない
  • 同居犬との激しい遊びを避ける
  • 子どもとの激しい遊びも控える
「元気そうだから大丈夫」と、
その日のうちから普段通りに遊ばせないようにしましょう

手術後のごはんと水は、
いつから?

手術後の食事や水については、 退院時に動物病院から 指示を受けてください。

麻酔後は、 吐き気などがみられることもあるため、 普段通りの量をすぐに与えるとは限りません。

退院時に、
「今夜は何時から、どのくらい食べていいですか?」 と確認しておきましょう

食べなかった場合に どの時点で病院へ連絡するのかも 聞いておくと安心です。

手術後に吐いた。
どう考えればいい?

麻酔や薬などの影響で、 術後に吐き気や嘔吐がみられることがあります。

ただし、 繰り返し吐く、 水も保てない、 ぐったりしているなどの場合には、 動物病院への相談が必要です。

「麻酔のせいだろう」と決めつけて、
繰り返す嘔吐を長時間そのままにしないでください

傷口は、
毎日一度は見ておきましょう

術後は、 傷口の状態を ご家庭でも確認します。

見るポイントは、 「昨日と比べてどうか」です。

  • 赤みが強くなっていないか
  • 腫れが大きくなっていないか
  • 出血が続いていないか
  • 液体や膿のようなものが出ていないか
  • 傷が開いていないか
  • 強く痛がっていないか
  • しきりになめようとしていないか
傷口を安全に撮影できる場合は、
一日一枚程度写真を残しておく方法もあります

「昨日より腫れている?」 と迷ったときに、 比較しやすくなります。

傷口をなめさせないことも、
大切な術後ケアです

犬は傷口が気になると、 なめたり噛んだりすることがあります。

そのため、 エリザベスカラーや術後服などを 使用することがあります。

「少しくらいなら大丈夫」と、
目を離す時間だけ外すことにも注意してください

短時間でも傷口を強くなめたり、 糸を気にしたりすることがあります。

カラーや術後服を嫌がる場合には、 自己判断で外し続けるのではなく、 動物病院へ相談してみましょう。

「元気だから散歩していい?」
運動再開は傷の回復に合わせます

若い犬では、 手術翌日から元気いっぱいに 動こうとすることもあります。

しかし、 見た目が元気でも 傷口や身体の中は 回復途中です。

散歩の再開時期や時間、 走る・ジャンプする運動を いつから再開するかは、 退院時の指示に従ってください。

元気の回復と、
傷の回復は同じ速さとは限りません

おしっこ・うんちも、
帰宅後に見ておきたいポイントです

手術後は、 食事量や活動量などの変化によって 排便のタイミングが普段と変わることがあります。

排尿についても、 きちんと尿が出ているか確認してください。

  • 尿が出ているか
  • 何度も排尿姿勢をとっていないか
  • 強く痛がっていないか
  • 便が出たか
  • 下痢をしていないか
尿が出ない、
排尿しようとしているのに出ない、 強く痛がるなどの場合は 動物病院へ相談してください

処方された薬は、
「元気になったから」で止めない

術後には、 鎮痛薬などが処方されることがあります。

使用方法や日数は、 動物病院から受けた指示に従ってください。

元気そうだから中止する。
痛そうだから倍にする。
といった自己判断はしないでください

薬を飲んだあとに 嘔吐・下痢・食欲低下など 気になる変化があれば、 処方した動物病院へ確認してください。

「元気になったから再診不要」
とは限りません

縫合方法によっては、 後日抜糸が必要になることがあります。

抜糸が必要ない場合でも、 傷の状態などを確認するために 再診を指示されることがあります。

退院時に、
「次はいつ来ればいいですか?」 と確認しておきましょう

抜糸の有無だけでなく、 傷口の確認、 運動を戻す時期なども 一緒に確認しておくと安心です。

手術後、
「これは様子を見ていい?」と迷ったら

帰宅後は、 普段と少し違うだけでも 心配になると思います。

麻酔や手術のあとには、 眠そうにする、 動きが少ない、 食欲がいつもより少ないなどの 変化がみられることがあります。

ただし、 「術後だから何でも普通」 というわけではありません。

判断に迷ったときは、
「手術後だから」と自己判断するより 手術を受けた病院へ確認しましょう

何時ごろから。

どんな変化が。

どの程度続いているのか。

食事や水は取れているか。

薬は飲めているか。

これらを伝えると、 状態を相談しやすくなります。

次の予約日を待たず、
動物病院へ相談したいサイン

次のような変化がみられた場合には、
次回の再診まで待たず 動物病院へ連絡してください
  • 呼吸が苦しそう、呼吸の様子が明らかにおかしい
  • 意識や反応がおかしい
  • 立てない、強くぐったりしている
  • 繰り返し嘔吐する
  • 水も保てない
  • 傷口から出血が続いている
  • 傷が大きく開いた
  • 傷の腫れや赤みが急に強くなった
  • 傷から膿のようなものが出る
  • 強い痛みが続いているように見える
  • 尿が出ない、排尿しようとしても出ない
  • 急激に状態が悪くなった

「この程度で電話してよいのかな」 と迷う場合もあると思います。

その場合も、 手術後の変化であることを伝えて 動物病院へ相談してください。

手術前に、
夜間の連絡先も確認しておきましょう

手術当日の夜や 休診日に気になる変化が起きる可能性もあります。

そのため、 退院する前に、

  • 診療時間外に異変があった場合の連絡方法
  • 夜間はどの動物病院を受診すればよいか
  • どのような状態ならすぐ受診すべきか

を確認しておくと安心です。

何か起きてから病院を探すより、
元気なうちに連絡先を確認しておきましょう

術後数日は、
簡単な記録を残しておくと安心です

詳しい日記を作る必要はありません。

スマートフォンのメモなどへ、 簡単に残すだけでも役立ちます。

  • 食事を食べた時間と量
  • 水を飲めているか
  • 薬を飲ませた時間
  • 嘔吐・下痢の有無
  • 排尿・排便
  • 元気や動き方
  • 傷口の変化
  • エリザベスカラーや術後服を使用できているか
動物病院で分かることと、
ご家庭だから分かること。

その両方を合わせることで、 術後の状態を より詳しく伝えられます。

手術前日から術後まで、
ここまで覚えておきたいこと

  • 絶食・飲水は手術を受ける動物病院の指示を優先する
  • 薬・サプリ・ハーブを使用している場合は事前に伝える
  • 手術当日に体調変化があれば必ず病院へ伝える
  • 去勢・避妊も全身麻酔を伴う外科手術として考える
  • 術後の痛みを自己判断で我慢させない
  • 帰宅後は静かに休める環境をつくる
  • 食事と水の再開方法は退院時に確認する
  • 傷口を毎日確認する
  • 傷口をなめたり噛んだりさせない
  • 元気でも運動は自己判断で急に戻さない
  • 処方薬を自己判断で中止・増減しない
  • 抜糸や再診の予定を確認する
  • 緊急性が分からないときも手術を受けた病院へ相談する
手術が終わった瞬間ではなく、
傷が回復して普段の生活へ戻るまでが 術後ケアです

食べられたか。

水を飲めたか。

おしっこは出たか。

痛そうではないか。

傷は昨日と比べてどうか。

そうした小さな変化を ご家庭で見守っていきましょう。

去勢・避妊後は、
「太りやすくなるかもしれない」と考えて見守ります

去勢・避妊後には、 以前と同じ食事量を続けていると 体重が増えてくる犬がいます。

ただし、 すべての犬が必ず太るわけではありません。

手術後の体重変化には、 必要なエネルギー量、 食欲、 活動量、 年齢、 犬種、 体格、 毎日の食事やおやつなど、 さまざまな要素が関係します。

大切なのは、
「去勢・避妊したから太る」と決めつけることではなく、 手術後の身体の変化を実際に見ることです

体重。

体型。

筋肉。

食欲。

活動量。

それらを一緒に見ていきます。

手術をしたその日から、
ごはんを大幅に減らす必要はありません

「去勢・避妊をすると太る」 と聞いて、 手術後すぐに食事量を 大きく減らしたくなるかもしれません。

しかし、 成長途中の犬では 身体をつくるための栄養も必要です。

成犬でも、 必要以上に食事を減らせば 栄養状態や筋肉を維持しにくくなることがあります。

「去勢・避妊済み」という理由だけで、
食事を一律に大幅カットしないでください

今の体重と体型、 成長段階、 活動量などを見ながら 必要に応じて調整します。

「太った気がする」より、
体重を数字で残してみましょう

毎日一緒に暮らしていると、 少しずつ変化する体型には 気づきにくいものです。

そこで、 手術前の体重を一つの基準として 定期的に体重を確認しておくと、 変化を見つけやすくなります。

手術前の体重を、
記録しておきましょう

その後も、 同じ条件に近い状態で 定期的に測ると比較しやすくなります。

成長期の場合には、 単純に「体重が増えた=太った」 とは判断できません。

身体が成長して増えているのか、 脂肪が増えているのかを 分けて考える必要があります。

体重だけでなく、
体型も一緒に見てみましょう

同じ体重でも、 筋肉量や脂肪のつき方によって 身体の状態は異なります。

動物病院では、 体脂肪のつき方を評価する目安として BCS(ボディ・コンディション・スコア)が 使われることがあります。

ご家庭でも、 数字だけでなく 愛犬の身体を見たり触ったりしてみましょう。

  • 肋骨を触ったときの感触は変わっていないか
  • 上から見たときに腰のくびれがあるか
  • 横から見たときのお腹のラインはどうか
  • 以前より脂肪がついたように感じないか
「何kgなら適正」という数字だけでなく、
その子の体型を見てもらいましょう

健康診断などの際に、 「この子の今のBCSはどのくらいですか?」 と獣医師へ聞いておくのも一つです。

「体重を減らす」だけでなく、
筋肉を保つことも大切です

体重管理というと、 体重計の数字ばかりに 目が向きやすくなります。

しかし、 身体を支える筋肉も 大切な観察ポイントです。

  • 背中や腰まわりが以前より細くなっていないか
  • 後ろ足の筋肉が落ちていないか
  • 散歩で疲れやすくなっていないか
  • 段差や立ち上がり方に変化がないか
食事を減らして体重だけ落ちても、
筋肉まで落ちてしまえば 理想的な体重管理とは限りません

「前より食べたがる」
そんな変化も記録しておきましょう

去勢・避妊後に、 食欲の変化を感じる犬もいます。

しかし、 食べたがるからといって 必要なエネルギー量まで 増えているとは限りません。

反対に、 食欲があること自体を 「異常」と決めつける必要もありません。

食欲だけで食事量を決めず、
体重・体型・活動量と一緒に考えます

フードの袋に書いてある量は、
「絶対量」ではありません

フードの給与量は、 食事量を考えるための 一つの目安になります。

ただし、 同じ体重の犬でも、 年齢や活動量、 体型などによって 必要量は同じとは限りません。

手術後に体重が増えてきた場合には、 現在食べている一日の総量を確認し、 必要に応じて調整します。

「カップ1杯」ではなく、
一度グラムで量ってみると 現在の食事量が分かりやすくなります

体重が増えてきたら、
主食以外も一度確認しましょう

フードの量は変わっていなくても、 一日の摂取量は 主食だけでは決まりません。

  • おやつ
  • トッピング
  • 家族から少しずつもらっている食べ物
  • トレーニングで使うごほうび
  • 薬を包むための食品

こうしたものも、 一日の食事の一部です。

「フードは増やしていないのに太った」 というときは、
家族全員からもらっているものを 一度合計してみましょう

去勢・避妊をしたら、
必ず「体重管理用フード」に変える?

手術をしたという理由だけで、 すべての犬が 同じ種類のフードへ変更する必要はありません。

今の食事を続けながら 食事量を調整できる場合もあれば、 体型や空腹感、 必要な栄養などを考えて 食事そのものを見直す場合もあります。

「去勢・避妊済み用」 と書いてあることだけで、
愛犬に合う食事とは決まりません

年齢、 成長段階、 体型、 活動量、 健康状態などを含めて考えます。

成長期に手術した子は、
「太らせない」と「育てる」の両方を考えます

子犬の時期に 去勢・避妊を受ける場合には、 その後も身体の成長が続きます。

そのため、 体重増加を恐れて 食事を必要以上に減らすのではなく、 適切に成長できているかを 確認することが大切です。

子犬では、
「体重を増やさないこと」が 目標ではありません

成長曲線や体型を見ながら、 適切な成長を続けられているか 確認していきます。

傷が治ったあとは、
食事だけでなく運動も大切です

術後の安静期間が終わり、 獣医師から通常の運動へ戻してよいと 許可が出たら、 日々の活動も体重管理の一部になります。

ただし、 急に長時間の運動を始める必要はありません。

年齢や体力、 関節などの状態を見ながら 無理のない範囲で続けます。

  • 毎日の散歩
  • 匂いを嗅ぎながら歩く時間
  • 室内での遊び
  • 無理のない範囲で身体を動かす習慣
体重管理は、
「食べる量を減らすこと」だけではありません

体重が増えたら、
何でも去勢・避妊のせい?

手術後に体重が増えたとしても、 すべてを去勢・避妊だけで 説明できるとは限りません。

食事量や活動量だけでなく、 年齢やそのほかの健康状態が 関係することもあります。

食事を大きく変えていないのに 体重が急に増える、
元気や被毛などにも変化がある場合には 動物病院へ相談してください

「手術したから太っただけ」 と決めつけず、 必要に応じて別の原因がないかを確認します。

去勢・避妊後の体重管理。
ここまでで大切なこと

  • 去勢・避妊後は体重が増えてくる犬もいる
  • すべての犬が必ず太るわけではない
  • 手術直後から食事を一律に大幅カットしない
  • 手術前の体重を記録しておく
  • 体重だけでなくBCSなど体型も一緒に見る
  • 体重を減らすことだけでなく筋肉を保つことも考える
  • 食欲だけを基準に食事量を決めない
  • フードの給与量は絶対量ではなく一つの目安として考える
  • おやつ・トッピングも一日の食事に含める
  • 去勢・避妊をしただけで必ず専用フードへ変更する必要はない
  • 成長期では「太らせない」と「適切に育てる」を両立する
  • 術後の安静期間が終わったら日々の運動も大切にする
  • 急な体重変化をすべて去勢・避妊のせいにしない
目標は、
「体重計の数字をできるだけ小さくすること」 ではありません

愛犬に合った体型を保ち、 必要な筋肉と栄養を維持しながら 元気に暮らせることが大切です。

そのために、 体重。

体型。

筋肉。

食欲。

食事量。

おやつ。

活動量。

それらを一緒に見ながら、 必要なところだけを 少しずつ調整していきましょう。

手術から時間がたったあとも、
「去勢・避妊したから」と決めつけない

去勢・避妊によって、 精巣や卵巣から分泌される 性ホルモンの状態は変化します。

そのため、 去勢・避妊と長期的な健康との関係について、 さまざまな研究が行われています。

ただし、 ここでとても大切なのが、 「関連がみられたこと」と 「手術が直接の原因であること」は 同じではないという点です。

「去勢・避妊をしたから、
この病気になった」 と一つの原因に決めつけないでください

犬種、 性別、 年齢、 体格、 手術時期、 遺伝的な要素など、 さまざまな条件が関係します。

女の子でみられることがある、
手術後の尿漏れ

避妊した女の子では、 尿道括約筋機能不全などによる 尿失禁がみられることがあります。

典型的には、 自分で排尿しているつもりがないのに 尿が漏れるような状態です。

  • 眠っていた場所が濡れている
  • 横になっているときに尿が漏れる
  • 起き上がった場所に尿が残っている
  • 本人は排尿した様子がないのに被毛が濡れている

などで気づくことがあります。

ただし、
「避妊後の尿漏れ=すべてホルモンの影響」 ではありません

膀胱炎、 尿路の病気、 神経の病気、 そのほかの原因でも 尿漏れや排尿の異常は起こります。

尿漏れがみられた場合には、 「避妊したから仕方がない」 とそのままにせず、 動物病院で原因を確認しましょう。

脱毛や皮膚トラブルも、
去勢・避妊だけを原因にしない

旧来の情報では、 去勢・避妊による 「ホルモンバランスの乱れ」が さまざまな皮膚病やアレルギーを 引き起こすように説明されることがあります。

しかし、 脱毛や皮膚の変化には 多くの原因があります。

  • 感染症
  • 寄生虫
  • アレルギー性疾患
  • 甲状腺や副腎などの内分泌疾患
  • 栄養状態
  • そのほかの皮膚疾患
手術後に被毛や皮膚が変わったとしても、
まず「何が起きているのか」を確認します

手術歴は獣医師へ伝えながら、 必要な診察や検査から 原因を整理していきます。

「手術後に性格が変わった?」
行動も一つの原因だけでは考えません

去勢・避妊後に、 行動の変化を感じる飼い主様もいます。

性ホルモンと関係する行動では 変化がみられる場合がありますが、 犬の行動はそれだけで決まるものではありません。

  • 年齢による変化
  • 生活環境
  • 学習や経験
  • 不安や恐怖
  • 痛みや身体の不調
  • 同居する人や動物との関係

なども関係します。

急に攻撃的になった、
触られることを嫌がるようになったなどの場合には、 「性格が変わった」と決めつけないでください

痛みや病気など、 身体的な原因が隠れていないかを 確認することも大切です。

去勢・避妊と関節の病気。
どう考えればいい?

去勢・避妊の時期と、 一部の整形外科疾患との関連について 研究が行われています。

特に、 大型犬や一部の犬種では、 成長が終わる前の手術と 関節・靱帯などの疾患との関連が 検討されています。

一方で、 すべての犬種・性別で 同じ結果になるわけではありません。

だからこそ、
手術時期を「全犬一律の月齢」で 決めない考え方につながっています

愛犬の犬種や成犬時の体格などを踏まえて、 獣医師と相談していきます。

「手術をすると、がんになる?」
そんな単純な話ではありません

去勢・避妊と 一部の腫瘍との関連についても、 多くの研究があります。

ただし、 腫瘍の種類によって 関係は同じではありません。

また、 犬種や性別、 手術時期などによっても 研究結果は異なります。

「手術をするとがんになる」
「手術をすればがんにならない」
どちらも一律には言えません

生殖器に関連する病気を防げる一方で、 ほかの疾患との関連を考慮する場合もあります。

女の子では、
乳腺腫瘍との関係も手術時期を考える材料になります

女の子の避妊時期を考える際には、 乳腺腫瘍のリスクも 検討材料の一つになります。

一方で、 特に大型犬などでは 成長や整形外科疾患、 尿失禁、 一部の腫瘍など、 ほかの要素についても 一緒に考える必要があります。

だから、
「初回発情前か後か」だけで 全てを決めるのではありません

愛犬の犬種、 体格、 生活環境、 繁殖予定なども含めて 獣医師と相談します。

男の子では、
精巣や前立腺などについても考えます

去勢によって精巣を摘出すると、 精巣そのものに発生する病気は その後起こらなくなります。

また、 男性ホルモンの影響を受ける 一部の前立腺疾患などについても 去勢が関係します。

ただし、 前立腺に起こるすべての病気を 去勢によって防げるわけではありません。

「去勢済みだから前立腺の病気にはならない」 と決めつけないことも大切です

研究を見るときに知っておきたい、
「関連」と「原因」の違い

たとえば研究で、 去勢・避妊した犬に ある病気が多くみられたとします。

それだけで、 「去勢・避妊がその病気を起こした」 と証明されたことにはなりません。

犬種、 年齢、 体格、 寿命、 飼育環境など、 ほかの違いが結果に影響することもあります。

「○倍になった」という数字だけを見るのではなく、
どんな犬を調べた研究なのかも大切です

ある犬種でみられた結果を、 そのまますべての犬へ 当てはめられるとは限りません。

手術後の健康管理は、
「ホルモンを整えること」ではありません

去勢・避妊後に大切なのは、 何か特別な方法で 性ホルモンを元に戻そうとすることではありません。

毎日の暮らしの中で、 愛犬の変化を見ていくことです。

  • 体重・体型
  • 筋肉
  • 食欲
  • 飲水量
  • 排尿
  • 皮膚・被毛
  • 歩き方や運動
  • 行動

そして、 定期的な健康診断を続けます。

「去勢・避妊した犬だから見る」のではなく、
一頭の犬として 年齢に合わせた健康管理を続けましょう

「ホルモンバランスのため」に、
サプリやハーブを追加する前に

旧来の記事やインターネット上では、 去勢・避妊後の 「ホルモンバランスを整える」 として、 さまざまな食品やハーブが 紹介されていることがあります。

しかし、 去勢・避妊によって摘出した 精巣や卵巣の働きを、 食品やハーブで元に戻すことはできません。

「自然のものだから安全」
「ハーブだから薬とは関係ない」 とは限りません

サプリメントやハーブにも 成分が含まれており、 使用している薬や 愛犬の健康状態によっては 注意が必要な場合があります。

新しく使用したいものがある場合には、 商品名や成分が分かるものを持って 獣医師へ確認してください。

特に、 「女性ホルモンの代わり」 「男性ホルモンを補う」 「ホルモンバランスを元に戻す」 といった目的で、 自己判断で食品やハーブを追加することは おすすめできません。

手術が終わって何年たっても、
普段の変化を見ることは変わりません

去勢・避妊をしたからといって、 その後の健康管理が 特別なものになるわけではありません。

大切なのは、 これまでと同じように 日々の変化を見ることです。

  • 体重や体型
  • 筋肉
  • 食欲
  • 飲水量
  • 排尿・排便
  • 歩き方や動き方
  • 皮膚や被毛
  • しこり
  • 元気や行動
「去勢・避妊済みだから起きた」
「去勢・避妊済みだから起きない」 と決めつけないことが大切です

気になる変化があれば、 その変化そのものを 動物病院で確認してもらいましょう。

避妊後の女の子で、
寝ている間に尿が漏れることがあります

避妊した女の子では、 尿道を閉じて尿を保つ機能が弱くなる 尿失禁がみられることがあります。

典型的には、 眠っているときや 横になって休んでいるときに、 本人が意識しないまま 尿が漏れることがあります。

「避妊したから仕方がない」と、
そのままにしないでください

尿漏れには、 尿路感染症や膀胱の問題など 別の原因が関係していることもあります。

まずは原因を確認することが大切です。

いつから始まったのか。

起きているときか、 寝ているときか。

一日に何回くらいか。

排尿時に痛そうではないか。

血尿はないか。

そうした情報を 獣医師へ伝えてください。

脱毛や皮膚トラブルを、
すべて「ホルモンバランス」のせいにしない

去勢・避妊後のホルモン変化と 皮膚炎やアレルギー、 脱毛などを 強く結びつけて説明しているいる場合があります。

しかし、 皮膚や被毛の変化には さまざまな原因があります。

  • 感染症
  • 寄生虫
  • アレルギー
  • 栄養状態
  • 甲状腺や副腎などの内分泌疾患
  • そのほかの皮膚疾患
手術後に毛や皮膚が変わったとしても、
「去勢・避妊のせい」と最初から決めず 原因を確認しましょう

脱毛の場所。

左右対称なのか。

かゆみがあるのか。

赤みや湿疹はあるのか。

いつから変化したのか。

こうした観察も 診察の手がかりになります。

性格や行動が変わった?
手術だけを原因にしないこと

去勢・避妊後に、 愛犬の行動について 「前と変わった気がする」 と感じることもあるかもしれません。

性ホルモンが関係する行動に 変化がみられることはあります。

一方、 犬の行動には 年齢、 学習、 経験、 環境、 不安、 痛み、 そのほかの健康状態なども関係します。

行動が変わったときは、
「いつ・どこで・どんなときに起きるか」 を見てみましょう

急な行動変化では、 痛みや病気が隠れていないか 確認が必要なこともあります。

去勢・避妊の時期と、
関節の病気との関連が調べられています

去勢・避妊の時期と 一部の整形外科疾患との関連については、 これまでさまざまな研究が行われています。

特に、 犬種や体格、 性別、 手術時期によって 関連の出方が異なることが報告されています。

ここで大切なのは、
「去勢・避妊をすると関節病になる」 と言い換えないことです

研究で「関連」がみられたことと、 その手術が直接の「原因」であることは 同じ意味ではありません。

だからこそ、 特に成長期の犬や大型犬などでは、 手術時期について 愛犬ごとに獣医師と相談することが大切です。

腫瘍についても、
「増える・減る」の一言では整理できません

去勢・避妊によって、 生殖器そのものに関係する 一部の病気を防げることがあります。

一方で、 手術の有無や時期と 一部の腫瘍との関連について 調べた研究もあります。

ただし、 その結果は 犬種や性別などによって 一様ではありません。

「手術すれば、がんにならない」
「手術すると、がんになる」
どちらも一律には言えません

愛犬の犬種や性別、 年齢などを踏まえて 個別に考える必要があります。

「関連がある」と、
「原因である」は同じではありません

去勢・避妊について調べていると、 「この病気が増えた」 「この病気が減った」 という情報を目にすることがあります。

こうした研究結果を読むときには、 少し注意が必要です。

ある病気と手術の間に 統計上の関連がみられても、
それだけで 「手術がその病気を起こした」 と証明されたことにはなりません

犬種。

体格。

性別。

年齢。

手術時期。

飼育環境。

そのほかの健康状態。

さまざまな要素が関係するため、 一つの研究結果だけで 愛犬の答えを決めないことが大切です。

手術後も、
定期的な健康確認を続けましょう

去勢・避妊手術をしたからといって、 特定の病気だけを 心配し続ける必要はありません。

それよりも、 年齢に応じた健康診断と 日々の観察を続けることが大切です。

「去勢・避妊済み」という情報も、
愛犬の健康情報の一つとして 獣医師と共有しておきましょう

去勢・避妊後の長期的な健康。
ここまでで大切なこと

  • 性ホルモンの変化とすべての病気を直接結びつけない
  • 食品やハーブで摘出した精巣・卵巣の働きを元に戻すことはできない
  • サプリやハーブも自己判断で追加しない
  • 避妊後の女の子では尿失禁がみられることがある
  • 尿漏れを「避妊したから仕方ない」と決めつけない
  • 脱毛や皮膚トラブルにはさまざまな原因がある
  • 行動変化も性ホルモンだけで説明しない
  • 手術時期と一部の関節疾患との関連が研究されている
  • 一部の腫瘍との関連も犬種・性別などによって異なる
  • 「関連」と「原因」を同じ意味として扱わない
  • 手術後も体重・体型・排尿・皮膚・被毛・行動などを普段通り観察する
  • 年齢に応じた健康診断を続ける
去勢・避妊をしたことだけを、
その後の健康の「答え」にしないこと

手術をしたことは、 愛犬の大切な医療情報の一つです。

でも、 その後に起きるすべての変化を 手術だけで説明することはできません。

今起きている変化を見て、 必要なときには 一つずつ原因を確認していきましょう。

「手術する?しない?」
最後は愛犬ごとに考えます

去勢・避妊について調べるほど、 正反対の意見を目にして 迷ってしまうことがあります。

しかし、 大切なのは インターネット上の誰かの結論を そのまま愛犬へ当てはめることではありません。

「去勢・避妊をするか」だけでなく、
愛犬の場合に 何を考慮して決めるのかを整理しましょう

性別。

犬種。

成犬時の体格。

現在の年齢と成長。

健康状態。

繁殖予定の有無。

生活環境。

そして、 手術によって期待できることと 考慮しておきたいこと。

それらを一つずつ確認してから 選択していきます。

手術をしない選択をした場合も、
知っておきたいことがあります

去勢・避妊をしない場合には、 生殖機能が残ります。

そのため、 望まない交配を防ぐための管理や、 生殖器に関係する病気について 知っておくことが大切です。

「手術をしない=何もしなくてよい」 ではありません

男の子と女の子、 それぞれで 観察しておきたいポイントがあります。

避妊していない女の子は、
発情周期も大切な健康情報です

避妊していない女の子では、 発情がみられます。

発情が始まった時期や その後の身体の変化を 記録しておくと、 診察時の大切な情報になります。

  • 発情が始まった日
  • 出血などがみられた期間
  • 食欲や元気の変化
  • 飲水量や排尿の変化
  • 発情後の体調変化
「前回の発情はいつでしたか?」 と聞かれたときに、
日付が分かるだけでも役立ちます

避妊していない女の子で、
特に知っておきたい子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、 子宮内に感染を伴って 膿がたまる病気です。

避妊していない女の子で起こり、 特に発情後の時期には 注意したい病気の一つです。

子宮の出口が開いている場合には 陰部から膿や血液を含む分泌物が みられることがあります。

一方、 子宮の出口が閉じている場合には、 外から分泌物が確認できないこともあります。

避妊していない女の子で、
次のような変化があれば 早めに動物病院へ相談してください
  • 元気がない
  • 食欲が落ちた
  • 水を飲む量が増えた
  • 尿の量が増えた
  • 嘔吐する
  • お腹が張ってきた
  • 陰部から普段と違う分泌物が出る
  • 発情後に体調が悪くなった

子宮蓄膿症は 緊急性の高い状態になることがあります。

「発情後だから元気がないだけ」 と決めつけず、 気になる変化があれば 動物病院へ相談してください。

去勢していない男の子は、
精巣の変化も見ておきましょう

去勢していない男の子では、 精巣が左右とも陰嚢内にあるかを 若いうちに確認しておくことが大切です。

また、 成犬以降も 左右の大きさや形などに 気になる変化がないかを見ておきましょう。

急に腫れた、
左右差が大きくなった、 痛がるなどの変化があれば 動物病院へ相談してください

去勢していない男の子では、
前立腺の病気が関係することもあります

男の子には 前立腺という生殖器があります。

年齢とともに 前立腺が大きくなることがあり、 排尿や排便などに 変化がみられる場合があります。

  • 尿が出にくそう
  • 何度も排尿姿勢をとる
  • 血尿などがみられる
  • 排便しにくそう
  • 便の形がいつもと違う
  • 痛そうにする
排尿・排便の変化は、
毎日の暮らしの中で 飼い主様だから気づける情報です

手術をしない場合は、
望まない交配を防ぐ管理も必要です

避妊していない女の子が発情中の場合には、 男の子との接触に 特に注意が必要です。

「少し目を離しただけ」 でも交配につながる可能性があります。

散歩、 ドッグラン、 多頭飼育、 ペットホテルなど、 愛犬の生活環境を考えて 管理方法を確認しておきましょう。

去勢・避妊後の食事に迷ったら、
「体重」だけで決めないこと

手術後に 「どのくらい食事を減らせばいい?」

「今のフードを続けていい?」

「体重が増えてきた」

「食欲が強くなった気がする」

といった悩みが出ることがあります。

そんなときは、 体重だけではなく、 年齢、 成長段階、 体型、 筋肉、 活動量、 現在の食事量などを 一緒に確認することが大切です。

食事選びに迷ったら

BIGWOOD コンシェルジュルーム

「去勢・避妊後、 今のごはんをどのくらい与えればいい?」

「体重が増えてきたので、 毎日の食事を一度見直したい」

そんな食事についての ご相談だけでも大丈夫です。

愛犬の年齢や体重、 現在食べているものなどを伺いながら、 毎日の食事選びを一緒に整理します。

※診断や治療、 手術時期・術式・薬についての判断は 動物病院へご相談ください。

受付時間 10:00〜17:00

去勢・避妊について、
診察室で確認しておきたいこと

  • この子の場合、去勢・避妊を考える主な理由は何ですか?
  • この時期を勧める理由は何ですか?
  • もう少し待つ場合に考慮することはありますか?
  • 犬種や成犬時の体格によって時期を考える必要がありますか?
  • 女の子の場合、予定している術式は何ですか?
  • 男の子の場合、精巣は両方とも正常な位置にありますか?
  • 手術前にはどんな検査をしますか?
  • 麻酔についてこの子で特に注意する点はありますか?
  • 手術後の痛みはどのように管理しますか?
  • 帰宅後の食事と水はどうしますか?
  • 運動はいつから戻せますか?
  • 食事量は変更した方がよいですか?
  • どんな変化があれば予定を待たず受診すべきですか?
全部を一度に聞かなくても大丈夫です

今気になっている質問を スマートフォンなどに残しておき、 一つずつ確認していきましょう。

最後に。
去勢・避妊に「みんな同じ答え」を求めないこと

去勢・避妊は、 多くの犬が受けている手術です。

だからこそ、 「みんなやっているから」 という理由だけで 決めてしまうこともあるかもしれません。

反対に、 インターネットで 手術後の病気についての情報を見て、 強い不安を感じることもあると思います。

大切なのは、
「去勢・避妊は良い・悪い」 の二択だけで考えないことです

愛犬は男の子なのか、 女の子なのか。

何犬種で、 どのくらいの体格になるのか。

今何歳で、 どこまで成長しているのか。

どんな健康状態なのか。

どんな環境で暮らしているのか。

そして、 ご家族が何を大切にしたいのか。

それらを一つずつ整理しながら、 獣医師と話し合っていきましょう。

手術を受けることになったら、 手術前から術後まで 愛犬の小さな変化を見守る。

手術をしない選択をしたら、 生殖器の病気や発情、 望まない交配を防ぐ管理について知っておく。

どちらの場合も、 愛犬を日々見ている飼い主様の観察は 大切な健康情報になります。

医療上の大切なご案内

このページは、 犬の去勢・避妊について一般的な情報を分かりやすく整理したものです。

去勢・避妊を行うかどうか、 手術を行う時期、 術式、 麻酔、 検査、 薬などについては、 愛犬の犬種・年齢・性別・体格・健康状態などによって 判断が異なります。

このページの情報だけで 手術の必要性や時期を 自己判断しないでください。

また、 手術後にみられた体重、 排尿、 皮膚・被毛、 行動などの変化についても、 「去勢・避妊が原因」と 自己判断せず、 気になる場合には 動物病院で確認してください。

現在治療中の場合は、 かかりつけの獣医師から受けている指示を 優先してください。

呼吸がおかしい、 意識や反応に異常がある、 強くぐったりしている、 出血が続く、 強い痛みがある、 尿が出ないなど、 急な異常がみられた場合には、 次の予約日を待たず 動物病院へご相談ください。

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