心臓病
犬の心臓病
お薬をもらったあと、飼い主様にできること
「心臓に雑音があります」 「僧帽弁の病気です」 「心臓が大きくなっています」 「お薬を始めましょう」
動物病院でそう言われると、 お薬をもらって少し安心する一方で、
「家では何を見ていればいい?」
「散歩はしても大丈夫?」
「食事は変えた方がいい?」
「塩分はどこまで減らす?」
「咳が出たら悪化したということ?」
「サプリメントで何かしてあげられる?」
と、 次々に疑問が出てくると思います。
毎日の小さな変化を見つけられるのは飼い主様です。
このページでは、 獣医師の治療を土台にしながら、 ご家庭で何を見て、 何を記録し、 何を獣医師へ伝えればよいのかを 一緒に整理していきます。
「心臓病です」と言われたら、
まず病名を確認してみましょう
「心臓病」という言葉は、 一つの病気の名前ではありません。
犬には、 心臓の弁に問題が起こる病気、 心臓の筋肉に問題が起こる病気、 生まれつき心臓の構造に問題がある病気、 不整脈など、 さまざまな心臓病があります。
そのため、 ご家庭での注意点や治療も 病気によって同じとは限りません。
「この子の心臓病の正式な病名を 教えていただけますか?」
病名が分かるだけでも、 これから何を確認していけばよいのかが ずっと整理しやすくなります。
「心臓病」と「心不全」は、
同じ意味ではありません
心臓に病気があるからといって、 すぐに心不全になっているとは限りません。
心臓には、 問題が起きても しばらく身体を支えようとする力があります。
そのため、 心雑音や心臓の病気が見つかっても、 症状なく生活できる期間が続くことがあります。
一方、 心臓の働きだけでは身体の状態を保てなくなり、 肺や身体に水分がたまるなどの問題が起きた状態が うっ血性心不全です。
心臓の弁や筋肉、 構造、リズムなどに 病気がある状態です。
心臓病が進み、 身体が必要とする循環を保てなくなったり、 肺や身体に水分がたまったりする状態です。
だからこそ、 今どの段階にいるのかを確認しながら、 必要な治療と見守りを続けていくことが大切です。
小型犬でよくみられる
僧帽弁の病気
犬でよくみられる心臓病の一つに、 僧帽弁に変化が起こり、 血液が逆流する病気があります。
「僧帽弁閉鎖不全症」 「僧帽弁逆流」 「粘液腫様僧帽弁疾患」 などの言葉で説明されることがあります。
僧帽弁は、 心臓の左心房と左心室の間にあり、 血液が逆流しないように働く弁です。
この弁がうまく閉じなくなると、 心臓が収縮するたびに 一部の血液が左心房へ逆流します。
初期には身体がその変化を補うため、 心雑音があっても 普通に生活している犬もいます。
しかし病気が進行すると、 心臓が大きくなったり、 さらに進むと肺に水分がたまる 肺水腫につながることがあります。
「心臓は大きくなっていますか?」
「心エコーでは、 どのくらい逆流していますか?」
「今は心不全ではありませんか?」
拡張型心筋症(DCM)は、
僧帽弁の病気とは仕組みが違います
拡張型心筋症(DCM)は、 心臓の筋肉の収縮する力が低下し、 心臓が十分に血液を送り出しにくくなる病気です。
大型犬や一部の犬種で 多くみられることが知られています。
初期には目立った症状がないこともありますが、 進行すると、
- 疲れやすくなる
- 運動を嫌がるようになる
- 呼吸が苦しそうになる
- 咳が出る
- 体重が減る
- 失神することがある
- お腹が張ってくることがある
- 不整脈がみられることがある
心エコーや心電図などを使い、 心臓の動きやリズムを確認します。
「心臓病」と「心不全」は、
同じ意味ではありません
心臓に病気があると言われると、 すぐに 「心不全なの?」 と心配になるかもしれません。
でも、 心臓病があることと、 心不全の状態になっていることは 同じではありません。
心臓に病気があっても、 身体がうまく補いながら 普段どおり生活できている時期があります。
一方、 心臓が身体に必要な血液を十分に送り出せなくなったり、 血液のうっ滞によって 肺やお腹などに水分がたまったりして、 身体に問題が現れている状態を 心不全と呼びます。
「今は心不全の状態ですか?」
「まだ心不全にはなっていませんか?」
この違いを確認しておくと、 薬や家庭での見守り方を 理解しやすくなります。
肺に水がたまる「肺水腫」と、
お腹に水がたまる「腹水」
心不全では、 心臓のどの部分に問題があるかによって、 身体に現れる変化が異なることがあります。
肺の血管に圧力がかかり、 肺に水分がたまる 「肺水腫」が起こることがあります。
呼吸が速い、 呼吸が苦しそう、 運動を嫌がるなどの変化が みられることがあります。
全身から戻ってくる血液がうっ滞し、 お腹に水分がたまる 「腹水」などがみられることがあります。
お腹が以前より張ってきた、 体重が急に増えたなどが 手がかりになることがあります。
心不全では、 利尿薬などを使って 身体にたまった余分な水分を減らす治療が 行われることがあります。
ただし、 薬の量や水分摂取量を 飼い主様だけで変更すると、 腎機能や電解質、 血圧などへ影響する可能性があります。
同じ「僧帽弁の病気」でも、
今どの段階なのかで管理が変わります
犬の僧帽弁疾患では、 病気の進み具合を ステージで説明されることがあります。
心雑音があっても まだ心臓の拡大が確認されていない段階、 心臓の拡大が進んでいるものの まだ心不全を起こしていない段階、 すでに心不全を経験している段階など、 状態は同じではありません。
「この子は今、 どのステージですか?」
「今は心不全ですか?」
「まだ心不全ではない場合、 何を見ながら経過を確認しますか?」
心臓病では、
一つの検査だけで全部が分かるわけではありません
心臓病の状態を確認するために、 症状や病気の種類に応じて いくつかの検査が組み合わされます。
心雑音や心拍のリズムなどを確認します。
心臓の大きさだけでなく、 肺水腫など肺の状態を確認するためにも使われます。
心臓の弁や各部屋の大きさ、 心筋の動き、 血液の流れなどを確認します。
不整脈など、 心臓の電気的なリズムを確認します。
心臓や全身の状態を考えるうえで 確認されることがあります。
腎機能や電解質など、 心臓以外の状態も確認します。 心臓に関連するバイオマーカーが 利用される場合もあります。
不整脈が疑われる場合には、 長時間の心電図記録などが 必要になることもあります。
一つの数字だけを見るのではなく、 心臓の大きさ、 動き、 肺の状態、 症状などを合わせて 今の状態を理解していきます。
心臓病の子が咳をした。
でも「咳=心不全」とは限りません
心臓病について調べると、 「咳」という症状をよく目にします。
確かに、 心不全に伴う肺水腫などで 咳がみられることがあります。
ただし犬の咳には、 気管や気管支など 呼吸器の病気が関係していることもあります。
特にシニアの小型犬では、 心雑音と呼吸器の問題が 同時に存在することもあります。
咳が出た時間、 回数、 寝ているときか、 運動したあとか、 興奮したときかなどを記録して 獣医師へ伝えてください。
ここまでで、まず確認したいこと
- 愛犬の正確な心臓病名を確認する
- 僧帽弁疾患なのか、DCMなど別の病気なのかを知る
- 「心臓病」と「心不全」を分けて考える
- 今、心不全の状態なのか確認する
- 病気のステージを確認する
- 肺水腫や腹水の経験があるか確認する
- 心エコー・レントゲン・心電図など、それぞれの検査の意味を知る
- 咳だけで心不全と自己判断しない
- 薬や水分量を自己判断で変更しない
そこが分かると、 薬の意味も、 家庭で何を見守ればよいのかも 整理しやすくなります。
心臓病の子をご家庭で見守るうえで、
覚えておきたい「睡眠時呼吸数」
心臓病と診断されたあと、 飼い主様がご家庭で確認できる大切な情報の一つに、 眠っているときの呼吸数があります。
心不全によって肺に水分がたまると、 呼吸が速くなることがあります。
そのため、 獣医師から指示された場合には、 愛犬がぐっすり眠っているときの呼吸数を 定期的に記録しておくことが役立ちます。
普段の値を記録しておくと、 「最近少し増えてきた」 という変化にも気づきやすくなります。
睡眠時呼吸数は、
ご家庭でも数えられます
愛犬が運動した直後や、 興奮しているときではなく、 ぐっすり眠っているときに測ります。
胸やお腹が 「上がって、下がる」 ところを見てください。
たとえば、 30秒間に12回なら、 1分間では24回です。
15秒だけ数えるよりも、 30秒または1分間測る方が 変化を確認しやすくなります。
毎日必ず同じ時間でなくても構いません。
できるだけ同じような条件で、 愛犬が落ち着いて眠っているときに測ってください。
「何回なら大丈夫?」
数字だけで自己判断しないことも大切です
健康な犬では、 睡眠時の呼吸数は 1分間に30回未満であることが一般的です。
ただし、 心臓病の愛犬について 「何回になったら病院へ連絡するか」は、 病気の状態や治療内容によって異なります。
暑さ、 夢を見ているとき、 痛み、 発熱、 呼吸器の病気などでも 呼吸が速くなることがあります。
「この子の場合、 睡眠時呼吸数が何回くらいになったら 病院へ連絡すればよいですか?」
愛犬専用の基準を 獣医師と決めておくと安心です。
数字だけでなく、
呼吸の「様子」も見てください
呼吸数が同じでも、 呼吸の仕方がいつもと違うことがあります。
- 以前より呼吸が速い
- 胸やお腹を大きく動かして呼吸している
- 落ち着いて横になれない
- 何度も寝る姿勢を変える
- 首を伸ばすようにして呼吸している
- 安静にしているのに息が荒い
- 眠っていても呼吸数が高い状態が続く
こうした変化があれば、 呼吸数と一緒に獣医師へ伝えてください。
動物病院へ着くころには 呼吸が変わっていることもあります。
ご家庭での呼吸の様子を動画で残しておくと、 診察時の手がかりになることがあります。
「少し様子を見よう」ではなく、
早く動物病院へ相談したい呼吸の変化
呼吸が明らかに苦しそうな場合には、 ご家庭で呼吸数を何度も測り続けるより、 動物病院へ連絡することを優先してください。
- 安静にしていても明らかに呼吸が苦しそう
- 呼吸のたびに胸やお腹を大きく使っている
- 横になることができない
- 首を伸ばすような姿勢で呼吸している
- 舌や歯ぐきの色が青紫色・灰色っぽく見える
- 急にぐったりした
- 倒れた
呼吸が苦しい犬に、 無理に水や食べ物、 サプリメントを与える必要はありません。
できるだけ興奮させず、 動物病院へ連絡し、 指示を受けてください。
「急に倒れた」「一瞬意識を失った」
失神も大切な情報です
心臓病や不整脈では、 一時的に脳へ届く血流が不足するなどして、 失神がみられることがあります。
数秒から短時間で立ち上がり、 その後いつもどおりに見える場合でも、 「もう元気だから大丈夫」と 自己判断しないでください。
- 運動中だったか
- 興奮した直後だったか
- 咳をしたあとだったか
- どのくらいの時間だったか
- 身体が硬くなったり動いたりしたか
- 回復後は普段どおりだったか
失神のように見える出来事には、 心臓以外の原因が関係する場合もあります。
動画が安全に撮れる状況であれば、 診断の手がかりになることがあります。
利尿薬を飲み始めたら、
おしっこが増えることがあります
心不全で肺水腫などがある場合には、 身体にたまった余分な水分を排出するために 利尿薬が処方されることがあります。
利尿薬を使用すると、 尿量や排尿回数が増えることがあります。
そのため、 お留守番や夜間も含めて 排尿しやすい環境を整えてあげることが大切です。
利尿薬は、 心不全を管理するうえで とても重要な薬になることがあります。
気になる変化があれば、 薬を変更する前に かかりつけの獣医師へ相談してください。
心臓病だから、
水を減らした方がいい?
肺水腫や腹水という言葉を聞くと、 「身体に水がたまるなら、 飲み水を減らした方がよいのでは?」 と考えるかもしれません。
しかし、 心臓病や心不全の犬に対して、 飼い主様の判断だけで 飲み水を制限することはおすすめできません。
特に利尿薬を使用している場合には、 水分状態や腎機能、 電解質なども関係します。
獣医師から特別な指示を受けていない場合は、 自己判断で飲み水を制限せず、 いつでも水を飲めるようにしておくことが基本です。
心臓の治療では、
腎臓の数字も一緒に確認することがあります
心臓と腎臓は、 互いに関係しながら働いています。
また、 心不全で使用する薬の中には、 腎機能や電解質などを確認しながら 使用するものがあります。
そのため、 心臓の治療中に血液検査を行い、 腎臓の数値や電解質を 定期的に確認することがあります。
そう思ったら、 遠慮せず獣医師へ聞いてみてください。
心臓を守りながら、 腎臓や全身の状態も一緒に見ていくための 大切な確認になることがあります。
心臓の薬を飲ませ忘れた。
どうすればいい?
毎日薬を続けていると、 「今朝の分を忘れてしまった」 ということもあるかもしれません。
ただし、 心臓病では複数の種類の薬を使うこともあり、 薬によって対応が異なります。
飲ませ忘れに気づいたら、 処方した動物病院へ 「薬の名前」「本来の時間」「気づいた時間」を伝え、 どうすればよいか確認してください。
できれば、 次回の診察時にあらかじめ、
と薬ごとに確認しておくと安心です。
薬が増えてきたら、
「飲ませたかどうか」を記録しましょう
心臓病では、 病気の状態によって 複数の薬を組み合わせることがあります。
朝・昼・夜で薬が違ったり、 一日1回と2回の薬が混ざったりすると、 「さっき飲ませたかな?」 と分からなくなることがあります。
- 薬の名前
- 飲ませる時間
- 一回に飲ませる量
- 実際に飲ませた時間
- 飲ませたらチェックを付ける
- 吐き出した・吐いたなど気になることも記録する
大切なのは、 ご家族の誰が見ても 「今日はどの薬を飲ませたか」 分かるようにすることです。
薬を飲ませたあとに吐いた場合や、 きちんと飲み込めたか分からない場合も、 自己判断でもう一度同じ量を飲ませず、 処方した動物病院へ確認してください。
心臓の薬が何種類もある。
それぞれ何のため?
心臓病では、 病気の種類やステージによって 複数の薬が処方されることがあります。
心臓の働きを助ける薬、 血管への負担を調整する薬、 余分な水分を排出する薬、 不整脈を管理する薬など、 目的は同じではありません。
「この薬は何のためですか?」
「飲ませたあと、 どんな変化に注意すればよいですか?」
「次の血液検査では、 何を確認しますか?」
薬の意味が分かると、 毎日の投薬も 「ただ飲ませる作業」ではなく、 治療の一部として理解しやすくなります。
心臓病の子は、
「数字」と「いつもの様子」を一緒に残しましょう
ご家庭で記録できる情報は、 次回の診察でとても役立つことがあります。
全部を毎日書く必要はありません。
獣医師から指示された項目と、 気になる変化があった日を中心に 記録してみてください。
- 睡眠時呼吸数
- 咳の回数や時間帯
- 呼吸の仕方
- 散歩で疲れやすくなっていないか
- 失神やふらつきがなかったか
- 食欲
- 飲水量の大きな変化
- 尿量・排尿回数の変化
- 体重
- お腹が張ってきていないか
- 薬を飲ませた時間
- 気になる行動や姿勢
「いつもの愛犬と比べて何が違うか」 を伝えられることが大切です。
心臓病では、
体重の「増えた・減った」両方を見ます
心臓病の子では、 体重の変化も大切な情報になります。
食欲低下や病気の進行などによって 体重や筋肉が減ってくることがあります。
一方で、 身体に水分がたまることで 体重が増える場合もあります。
食事量、 筋肉の状態、 お腹の張り、 呼吸、 薬の変更などと合わせて 獣医師へ伝えてください。
心臓病の家庭ケアで、
まず覚えておきたいこと
- 獣医師から指示された場合は睡眠時呼吸数を記録する
- 一回の数字より、その子の普段の値と変化を見る
- 連絡すべき呼吸数の基準を主治医に確認する
- 呼吸数だけでなく呼吸の仕方も見る
- 明らかな呼吸困難は自宅で様子を見続けない
- 失神があれば前後の状況も伝える
- 利尿薬を自己判断で増減しない
- 飲み水を自己判断で制限しない
- 心臓治療中は腎機能や電解質を確認することがある
- 飲ませ忘れた薬を自己判断で2回分まとめない
- 複数の薬は投薬表などで記録する
- 体重・食欲・呼吸・お腹の張りなどを一緒に見る
眠っているときの呼吸。 毎日の食欲。 散歩での疲れ方。 咳。 体重。 お腹の張り。
そうした小さな変化を 一番近くで見つけられるのは飼い主様です。
心臓病と言われたら、
ごはんは全部変えた方がいい?
愛犬が心臓病と診断されると、 「心臓用の食事へすぐ変えなければ」 と考えるかもしれません。
でも、 心臓病という病名だけで すべての犬に同じ食事が必要になるわけではありません。
心臓病の種類やステージ、 心不全を経験しているか、 現在使用している薬、 腎臓の状態、 食欲、 体重や筋肉量などによって、 食事で優先したいことは変わります。
「この子の食事で何を守る必要があるか」を確認する
これが分かると、 フード、おやつ、トッピング、 サプリメントまで 考えやすくなります。
心臓病だから、
とにかく「無塩」にすればよい?
心臓病の食事について調べると、 「塩分を控える」 という情報をよく目にします。
ナトリウムの摂りすぎに注意することは、 心臓病の食事管理で検討される大切な要素の一つです。
ただし、 必要な制限の程度は 心臓病の段階によって同じとは限りません。
また、 食事制限を強くしすぎて 愛犬が食べなくなってしまうことも避けたいところです。
愛犬の状態に合った ナトリウム管理について、 かかりつけの獣医師へ確認してください。
「この子の場合、 ナトリウムや塩分について どの程度気をつければよいですか?」
主食だけでなく、
おやつ・トッピングも「一日の食事」です
フードをきちんと選んでいても、 おやつやトッピングを毎日使っていると、 そこから摂る栄養も積み重なります。
特にナトリウムについて 食事指示を受けている場合には、 主食だけを見るのではなく、 愛犬が一日に口にするもの全体を 確認してみてください。
- 毎日のおやつ
- ジャーキー類
- 人の食事から分けているもの
- チーズなど投薬に使っている食品
- スープや煮汁
- トッピング
- 歯みがき用のおやつ
- サプリメント
全部禁止するという意味ではありません。
愛犬の食事条件の中で 何をどのくらい使えるかを 整理していくことが大切です。
毎日の薬を包む食べ物も、
意外と見落としやすいポイントです
心臓病では、 毎日薬を飲ませる必要がある子も多くいます。
薬を飲んでもらうために、 チーズや加工肉、 ペースト状のおやつなどを 毎回使っていることもあると思います。
少量でも、 一日数回、毎日続けば 食事全体の一部になります。
そのうえで、毎日使うものも一度確認してみましょう
ナトリウムなどについて 食事指示を受けている場合には、 投薬に使っている食品も 獣医師へ伝えてください。
「心臓によい食事」でも、
食べてくれなければ困ります
心臓病が進行した子や、 複数の薬を使用している子では、 食欲が落ちることがあります。
食欲が落ちたとき、 「療法食だから絶対これだけを食べさせなければ」 と頑張りすぎると、 十分なエネルギーを摂れなくなることがあります。
一方で、 食べないからといって 味の濃い人の食事などを 自由に与えるのも適切とは限りません。
特に、 急に食べなくなった、 元気もない、 呼吸も変わった、 吐いているなどの場合には、 食事だけの問題と決めつけないでください。
心臓病では、
「太らせない」だけでなく筋肉を守ることも大切です
肥満は身体を動かす負担を増やすため、 適正な体重を維持することは大切です。
しかし、 心臓病が進んだ犬では 体重だけでなく 筋肉が減ってくることがあります。
体重計の数字があまり変わらなくても、 背中や腰、 太ももなどの筋肉が 少なくなっていることがあります。
体重と一緒に、 筋肉が落ちていないか、 食べる量が減っていないかも 見てください。
心臓病だから、
タンパク質を減らした方がいい?
心臓病という理由だけで、 タンパク質を大きく制限するとは限りません。
特に筋肉が落ちている子では、 必要な栄養をきちんと摂ることも大切です。
ただし、 腎臓病など別の病気を併発している場合には、 食事条件が変わることがあります。
心臓だけを見て食事を決めず、 現在治療している病気を 獣医師へ確認したうえで選びます。
心臓病だから、
お散歩をやめた方がいい?
心臓病と診断されると、 「動かすと心臓に負担がかかるのでは」 と心配になるかもしれません。
しかし、 すべての心臓病の犬に 完全な運動禁止が必要というわけではありません。
病気の種類やステージ、 心不全の有無、 不整脈、 呼吸状態などによって、 適した運動量は異なります。
「この子の場合、 一回何分くらいの散歩ならよいですか?」
「坂道や階段は大丈夫ですか?」
「どんな様子が出たら 散歩を切り上げればよいですか?」
散歩は運動だけでなく、
愛犬の変化を知る時間にもなります
いつもの散歩コースだからこそ、 小さな変化に気づけることがあります。
- 以前より歩く速度が遅くなった
- 途中で立ち止まることが増えた
- 帰りたがるようになった
- 呼吸が落ち着くまで時間がかかる
- 咳が出るようになった
- ふらつくことがある
- 舌や歯ぐきの色がいつもと違う
無理に以前と同じ距離を歩かせるのではなく、 愛犬の様子に合わせてください。
タウリン、L-カルニチン、CoQ10。
心臓によさそうなサプリは足した方がいい?
心臓について調べると、 タウリン、 L-カルニチン、 コエンザイムQ10など、 さまざまな栄養成分を目にすると思います。
ただし、 心臓病の種類や食事内容によって、 必要性は同じではありません。
サプリメントは、 処方された心臓薬の代わりになるものではありません。
現在使っている薬、 腎機能、 電解質、 食事内容などとの兼ね合いもあります。
追加したい場合には、 商品名・原材料・一日の使用量が分かるものを 獣医師へ見せて確認してください。
「自然なハーブなら薬と一緒でも安心」
とは限りません
ハーブや植物由来の成分も、 身体へ作用する成分を含んでいます。
特に心臓病では、 心拍、 血圧、 利尿、 電解質などに関係する薬を 使用していることがあります。
そのため、 利尿作用や循環への作用を期待して ハーブを自己判断で追加することは おすすめできません。
使用したいハーブ製品がある場合には、 原材料が分かる状態で かかりつけの獣医師へ相談してください。
DCMと食事。
「この原材料だから心臓病になった」と決めつけない
拡張型心筋症(DCM)と食事の関係については、 これまでさまざまな調査や研究が行われています。
一部では、 特定の食事パターンを食べていた犬で DCMが報告されたことから、 食事との関係について調査が続けられてきました。
ただし、 「グレインフリーだからDCMになる」 「この原材料が入っているから心臓病になる」 と一つの条件だけで 原因を決められるものではありません。
DCMには、 遺伝的な要因が関係する犬種もあり、 栄養状態、 食事内容、 そのほかの要因についても 一頭ずつ確認する必要があります。
フードの商品名だけでなく、 おやつ、 トッピング、 サプリメントなども含めて伝えます。
「この子のDCMについて、 食事との関係を調べる必要がありますか?」
「今のフードを変更した方がよいですか?」
「タウリンなどの検査や補給を 検討する必要がありますか?」
グレインフリーは、
心臓病の子には食べさせてはいけない?
DCMと食事についての情報から、 「グレインフリーは全部危険なの?」 と不安になる飼い主様もいると思います。
しかし、 「穀物を使っていない」という一点だけで、 その食事がDCMの原因になると 判断することはできません。
一方で、 DCMと診断された犬については、 現在の食事内容を獣医師へ伝え、 食事変更が必要かどうかを 個別に確認することが大切です。
だからこそ、 「問題ありません」と販売側だけで 決めつけることはしません。
DCMと診断されている場合には、 獣医師から受けている指示を確認しながら、 その子に合う食事を一緒に考えます。
食事を変える前に、
獣医師へ伝えておきたいこと
心臓病の食事を見直すときには、 「心臓によさそうなフードを探す」 だけから始めなくても大丈夫です。
まず、 今の愛犬について 食事で守る必要がある条件を確認します。
- 正確な心臓病名
- 現在のステージ
- 心不全や肺水腫を経験しているか
- ナトリウムについて指示があるか
- 腎臓病など併発疾患があるか
- 現在の体重と適正体重
- 筋肉が減っていないか
- 食欲があるか
- 現在使用している薬
- サプリメントについて指示があるか
「心臓によいと言われているものを全部足す」 のではなく、 今の愛犬に必要な条件を 一つずつ満たしていきます。
心臓病の食事は、
「これだけ食べればよい」ではありません
- 病名だけで全員同じ食事にしない
- 必要なナトリウム管理の程度を獣医師へ確認する
- 主食だけでなく、おやつやトッピングも一緒に考える
- 投薬に毎日使う食品も食事の一部として考える
- 食欲が落ちた場合は早めに相談する
- 体重だけでなく筋肉の減少にも注意する
- 心臓病だけを理由にタンパク質を自己判断で大きく減らさない
- 運動量は病気の状態に合わせて獣医師へ確認する
- サプリメントを心臓薬の代わりにしない
- ハーブも薬との組み合わせを確認する
- DCMでは現在の食事内容を詳しく獣医師へ伝える
- グレインフリーという一点だけで原因を決めつけない
「今の愛犬に何が必要か」を知る
心臓の状態。 腎臓の状態。 食欲。 体重。 筋肉。 薬。 そして毎日の食事。
それらを一緒に見ながら、 無理なく続けられる食事を考えていきます。
心臓病と暮らす。
「安静にする」だけが家庭ケアではありません
心臓病と診断されると、 「なるべく動かさない方がいいのでは」 と心配になることがあります。
しかし、 必要な運動量や生活上の制限は、 病気の種類やステージによって異なります。
大切なのは、 愛犬の状態に合った範囲で、 無理をさせず、 毎日を穏やかに過ごせるようにすることです。
「今できること」を安全に続ける
散歩の距離を短くする。 ゆっくり歩く。 疲れたら休む。 暑い時間を避ける。
愛犬の状態に合わせて 暮らし方を少しずつ調整していきます。
暑い日・蒸し暑い日は、
呼吸への負担にも注意してください
犬は、 人のように全身から汗をかいて 体温を下げることが得意ではありません。
暑い環境では、 パンティングによって 呼吸が速くなります。
心臓病の子では、 暑さの中で無理に運動させず、 涼しい時間帯や環境を選んでください。
- 真夏の日中の散歩を避ける
- 蒸し暑い日は運動量を調整する
- 室内温度にも配慮する
- 散歩中に無理をさせない
- 呼吸が落ち着くまで時間がかかる場合は記録する
「うれしい!」も愛犬の大切な時間。
でも興奮後の様子は見ておきましょう
来客、 ごはん、 散歩へ行く前、 家族の帰宅など、 犬が興奮する場面は日常にたくさんあります。
心臓病だからといって、 喜ぶことそのものを すべて避ける必要はありません。
ただし、 興奮したあとに 咳が増える、 呼吸がなかなか落ち着かない、 ふらつくなどの変化があれば 記録して獣医師へ伝えてください。
心臓病の子のお留守番。
事前に整えておきたいこと
心臓病の治療が始まっても、 飼い主様が一日中そばにいられるとは限りません。
特に利尿薬を使用している場合には、 排尿回数が増えることがあります。
- 水を飲める状態にしておく
- 排尿しやすい環境をつくる
- 室温を快適に保つ
- 興奮しやすい環境をできる範囲で避ける
- 帰宅後に呼吸や元気、排尿などを確認する
旅行・ペットホテル・ご家族へ預けるときは、
「心臓病です」だけではなく薬まで伝える
愛犬をほかの方へ預ける場合には、 病名だけでなく、 毎日の管理方法も共有しておきましょう。
- 病名
- 現在使用している薬
- 薬を飲ませる時間
- 食事内容
- 運動についての制限
- 普段の睡眠時呼吸数
- どんな変化があれば病院へ連絡するか
- かかりつけ動物病院の連絡先
薬は、 名前と一回量が分かるようにしておくと安心です。
心臓を守るために、
フィラリア予防も忘れずに
フィラリア症は、 蚊を介して感染する寄生虫による病気です。
成虫は心臓や肺動脈などに影響を与え、 心臓・肺へ大きな負担をかけることがあります。
フィラリアは、 ハーブや自然食品で確実に予防できる病気ではありません。
投薬時期や検査については、 お住まいの地域や愛犬の状態も含めて かかりつけの獣医師へ確認してください。
今日から全部変えなくて大丈夫。
まず一つだけ始めてみませんか?
獣医師から指示されている場合は、 ぐっすり眠っているときの 呼吸数を測ってみます。
名前・量・時間を 一枚のメモへまとめてみます。
主食以外に 毎日食べているものを書き出します。
「今はどのステージ?」 「運動はどのくらい?」 一つだけでも構いません。
次の診察で、そのまま使える質問集
必要なものだけ、 スマートフォンへメモしてお使いください。
「正式な病名を教えてください」
「今はどのステージですか?」
「今は心不全の状態ですか?」
「睡眠時呼吸数が何回になったら 連絡すればよいですか?」
「それぞれの薬は 何のために飲んでいますか?」
「この薬を忘れた場合は どうすればよいですか?」
「腎臓や電解質は 何を確認していますか?」
「ナトリウムについて どの程度注意すればよいですか?」
「この子の目標体重は どのくらいですか?」
「散歩は一回何分くらいまで 大丈夫ですか?」
「今の薬と一緒に このサプリを使っても大丈夫ですか?」
「次はいつ、 どの検査をする予定ですか?」
BIGWOODがお手伝いできるのは、
心臓病の「治療」ではなく毎日の食事です
BIGWOODでは、 心臓病の診断や、 薬の量を決めることはできません。
また、 処方された心臓薬や利尿薬を 変更・中止することもできません。
でも、 獣医師から伝えられている食事条件をもとに、 毎日のフードやおやつ、 トッピングについて 一緒に整理することはできます。
病名。 ステージ。 ナトリウムについての指示。 腎臓の状態。 食欲。 体重。 筋肉。
それらを確認しながら、 今の愛犬が無理なく続けられる食事を 一緒に考えていきます。
獣医師から言われていることが分かったら、
BIGWOODも一緒に食事を考えます
「心臓病と言われたけれど、 今のフードで大丈夫?」
「塩分を控えるように言われたけれど、 何を見て選べばいい?」
「心臓と腎臓の両方に問題がある」
「食欲が落ちて、 今までのごはんを食べなくなってきた」
「おやつやトッピングも含めて 一度整理したい」
そんなご相談でも大丈夫です。
- 動物病院で伝えられた正式な病名
- 現在のステージ
- 肺水腫や腹水の経験があるか
- 現在使用している薬
- ナトリウム・塩分について指示があるか
- 腎臓など、ほかに治療中の病気があるか
- 現在食べているフード
- 毎日のおやつ・トッピング
- 現在使用しているサプリメント
- 年齢・体重
- 最近の食欲や体重の変化
分からない項目は、 「分からない」で構いません。
BIGWOOD コンシェルジュルーム
「心臓病と言われた子の 毎日のごはんを一度見直したい」
そんなご相談だけでも大丈夫です。
獣医師から伝えられている 病名やステージ、 食事についての指示を確認しながら、 BIGWOODの商品について 一緒に考えさせていただきます。
「何を選べばいいか分からない」 という段階でも構いません。
受付時間 10:00〜17:00
最後に。
心臓病になっても、
毎日の暮らしは続いていきます
心臓病と診断されると、 飼い主様は 愛犬の咳や呼吸、 散歩での様子まで 今まで以上に気になるようになると思います。
「運動させない方がいいのかな」
「このごはんで大丈夫かな」
「また肺水腫になったらどうしよう」
そんな心配が出てくることも 自然なことだと思います。
でも、 心臓病のケアは 飼い主様だけで答えを出すものではありません。
毎日の変化は飼い主様が見つける。
薬は獣医師の指示どおり続ける。
呼吸や咳、 食欲、 体重、 散歩での疲れ方などを ご家庭で見守る。
食事で迷ったら、 病気の状態や獣医師からの指示を確認しながら 選んでいく。
その一つひとつが、 愛犬の毎日の暮らしを支える 大切なケアになります。
次の診察へ持っていくと役立つもの
心臓病では、 動物病院で分かることと、 ご家庭だから分かることがあります。
全部そろえなくても大丈夫です。
- 睡眠時呼吸数の記録
- 咳が出た日時や回数
- 呼吸や咳の動画
- 失神・ふらつきがあった日時と状況
- 体重の変化
- 食欲の変化
- 飲水量や尿量で気になった変化
- 散歩での疲れ方の変化
- 現在飲んでいる薬の一覧
- 現在使用しているサプリメント
- 現在食べているフード・おやつ・トッピング
完璧な記録を作ることより、 普段の愛犬との違いに気づくことを 大切にしてください。
このページは、 犬の心臓病や心不全、 ご家庭での暮らしや食事について考えるための 一般的な情報をお伝えするものです。
病気の診断、 心臓病のステージ判定、 薬の開始・中止・増減、 飲水量の制限などを ご家庭だけで判断するためのものではありません。
心臓病には、 僧帽弁疾患、 拡張型心筋症、 先天性心疾患、 不整脈などさまざまな病気があり、 同じ病名でも状態によって 必要な治療や生活管理は異なります。
現在治療中の場合は、 かかりつけの獣医師や 循環器を診療する獣医師から受けている指示を 優先してください。
安静にしていても明らかに呼吸が苦しい、 横になれない、 舌や歯ぐきの色が青紫色・灰色っぽい、 急に倒れた、 意識の状態がおかしいなどの場合は、 次の定期診察を待たず 速やかに動物病院へご相談ください。






