門脈シャント
「門脈シャント」と言われたら。
まず何を確認すればいい?
血液検査で胆汁酸が高かった。
超音波検査で 「門脈シャントの可能性があります」 と言われた。
あるいは、 ふらつきやぼんやりする様子があり、 詳しく検査することになった。
「肝臓の病気?」
「手術が必要なの?」
「食事のタンパク質を すぐ減らした方がいい?」
聞き慣れない病名だけに、 いろいろな疑問が出てくると思います。
このページでは、 門脈シャントで何が起きているのか、 どのような検査や治療があるのか、 そしてご家庭で何を見守ればよいのかを 順番に整理していきます。
そもそも「門脈」って何?
門脈は、 消化管などから集まった血液を 肝臓へ運ぶ大切な血管です。
食事から吸収された栄養素などを含む血液は、 まず門脈を通って 肝臓へ向かいます。
肝臓では、 身体に必要な物質をつくったり、 栄養素を代謝したり、 身体に不要な物質を処理したりします。
消化管などからの血液 → 門脈 → 肝臓 → 全身へ
肝臓は、 食事から吸収されたものを含む血液を 受け取る重要な臓器です。
門脈シャントでは、
肝臓を通るはずの血液に「別ルート」ができます
門脈体循環シャント (Portosystemic Shunt:PSS)とは、 門脈系と全身の静脈系の間に 異常な血管のつながりができ、 本来肝臓へ向かうはずの血液の一部が 肝臓を迂回してしまう状態です。
つまり、 肝臓へ行くはずだった血液が 「近道」を通って 全身へ流れてしまいます。
血液が肝臓を通るルートに 問題が起きている状態です
肝臓を迂回すると、
身体の中で何が起こるの?
門脈血の一部が肝臓を通らないことで、 大きく二つの問題が起こります。
肝臓は門脈から届く血液や その中に含まれる物質の影響を受けながら 発達・機能します。
シャントによって門脈血流が減ると、 肝臓が十分に発達しにくくなることがあります。
消化管から吸収された物質の一部が 肝臓で十分に処理されないまま 全身循環へ入ることがあります。
その影響が脳に及ぶと、 肝性脳症と呼ばれる 神経症状につながることがあります。
門脈シャントには、
「先天性」と「後天性」があります
生まれつき異常な血管が存在するタイプです。
単一のシャント血管がみられることが多く、 若い時期に症状や検査異常が 見つかることがあります。
慢性的な肝臓病などによって 門脈の圧力が高くなり、 血液を逃がすために 複数の迂回路が形成されることがあります。
先天性の単一シャントとは 治療の考え方が異なります。
後天性の多発シャントは、 高くなった門脈圧を逃がすために 形成されていることがあります。
そのため、 先天性の単一シャントと 同じようには扱いません。
先天性シャントには、
「肝内」と「肝外」があります
先天性門脈シャントは、 異常な血管がどこにあるかによって 大きく分けられます。
異常な血管が 肝臓の外側にあるタイプです。
小型犬でみられることが多いとされています。
異常な血管が 肝臓の内部にあるタイプです。
大型犬でみられることが多いとされています。
今後の治療方法を考えるうえでも 大切な情報です
門脈シャントの症状は、
「肝臓らしい症状」だけではありません
門脈シャントの症状は 犬によってさまざまです。
発育がゆっくりだったり、 食欲や元気に波があったり、 嘔吐や下痢がみられたりすることがあります。
また、 肝臓で十分に処理されなかった物質が 全身へ回ることで、 神経症状が現れることもあります。
尿路結石など、 泌尿器の症状をきっかけに 門脈シャントが見つかることもあります。
「一つの典型的な症状」が出る病気ではありません
神経。 消化器。 発育。 泌尿器。
一見すると別々に見える変化が、 門脈シャントと関係している場合があります。
ぼんやりする・ふらつく。
「肝性脳症」とは?
門脈シャントで 特に知っておきたいものの一つが 肝性脳症です。
腸管などから吸収された物質の一部が 肝臓で十分に処理されないまま 全身循環へ入ることで、 脳の働きに影響が現れることがあります。
アンモニアは、 その病態に関係する物質の一つとして 知られています。
- いつもよりぼんやりしている
- 元気がなく反応が鈍い
- ふらつく
- まっすぐ歩きにくい
- 同じところをぐるぐる回る
- 頭を壁などに押しつけるような行動をする
- よだれが増える
- 見えていないような行動をする
- けいれんを起こす
ずっと同じ強さで続くとは限りません
良いときと悪いときがあったり、 一度落ち着いたあとに また症状が現れたりすることがあります。
「食後に様子がおかしい」は、
診察時に伝えたい大切な情報です
肝性脳症では、 食事のあとに神経症状が 目立つことがあります。
ただし、 必ず食後だけに症状が出るわけではありません。
「食べたあとに、 ぼんやりすることが多い」
「食後しばらくすると、 ふらつくことがある」
など、 食事と症状の時間的な関係に気づいた場合には 記録して獣医師へ伝えてください。
「何時に食べて、何時ごろ変化したか」 も役立つ情報になります
小さい頃から身体が小さい。
食欲やお腹の症状が手がかりになることも
先天性の門脈シャントでは、 若い犬で見つかることがあります。
その中には、 同じ年齢の犬と比べて 身体が小さい、 体重が増えにくいといった 発育上の変化がみられる子もいます。
また、 消化器症状として、
- 食欲が安定しない
- 食べる量が少ない
- 嘔吐する
- 下痢をする
- 体重が増えにくい
- 体重が減ってくる
などがみられることもあります。
発育や体重の経過も一緒に見ていきましょう
おしっこのトラブルから、
門脈シャントが見つかることもあります
門脈シャントでは、 尿酸アンモニウムを含む 尿路結石が形成されることがあります。
そのため、 神経症状や消化器症状ではなく、 おしっこの異常をきっかけに 検査が進む場合もあります。
- 何度もおしっこへ行く
- 少量ずつしか出ない
- 排尿時につらそうにする
- 尿に血が混じる
- 尿が出にくそう
様子を見続けず動物病院へ相談してください
尿道が閉塞している場合には、 緊急の対応が必要になることがあります。
後天性のシャントは、
先天性シャントとは考え方が違います
後天性の門脈体循環シャントは、 肝臓や門脈系の病気などによって 門脈の圧が高くなった結果、 血液を逃がすための血管が 複数形成されることがあります。
つまり、 先天性の単一シャントと 同じ仕組みではありません。
先天性の単一シャントと同じ考えで 閉鎖するわけではありません
「先天性なのか後天性なのか」 「単一なのか多発なのか」は、 治療方針を考えるうえで とても重要な情報です。
ご家庭だから分かる変化を、
記録しておきましょう
門脈シャントでは、 症状が毎日同じとは限りません。
診察室では元気でも、 ご家庭では気になる変化が 起きていることがあります。
- 食事をした時間
- 食べた量
- 食後の様子
- ぼんやり・ふらつきなどが出た時間
- よだれの増加
- 嘔吐・下痢
- 排尿の回数や様子
- 尿の色
- 体重の変化
- 薬を飲ませた時間
安全に撮影できる状況なら動画も役立つことがあります
ふらつき方や行動の変化などは、 診察時には再現されないことがあります。
無理に撮影する必要はありませんが、 安全を確保できる場合には 記録しておくと状態を伝えやすくなります。
こんな変化があれば、
次の予約日まで待たず相談してください
- けいれんを起こした
- 意識や反応がおかしい
- 強くふらつく、立てない
- 急に見えていないような行動をする
- 頭を押しつけるような異常行動がある
- 急にぐったりした
- 嘔吐や下痢が続く
- まったく食べられない
- 尿を出そうとしているのに出ない
- 急激に状態が悪くなった
現在治療中の場合は、 主治医からあらかじめ受けている 緊急時の指示を優先してください。
門脈シャントと言われたら、
まずここまで整理しましょう
- 門脈は消化管などから肝臓へ血液を運ぶ重要な血管
- シャントがあると血液の一部が肝臓を迂回する
- 先天性と後天性では病態や治療の考え方が異なる
- 先天性シャントには肝内・肝外などの違いがある
- 神経症状だけでなく発育・消化器・泌尿器症状が出ることもある
- 肝性脳症ではぼんやり・ふらつき・異常行動・けいれんなどが起こることがある
- 食後に症状が目立つ場合は時間関係を記録する
- 尿酸アンモニウム結石などの尿路トラブルが手がかりになることもある
- 症状がない時間があっても指示された検査・通院を続ける
- 急な神経症状や排尿できない状態は予定を待たず相談する
「シャントがある」ということだけではありません
先天性なのか。
後天性なのか。
肝内なのか肝外なのか。
単一なのか多発なのか。
今どんな症状があり、 肝臓や全身へどの程度影響しているのか。
そこまで整理できると、 次に必要な検査や治療を 理解しやすくなります。
門脈シャントは、
一つの検査だけで判断するものではありません
門脈シャントが疑われると、 血液検査や尿検査、 画像検査などを組み合わせながら 状態を確認していきます。
大切なのは、 「一つの数値が高かったから確定」 と考えないことです。
「何を確認するための検査なのか」 という役割があります
肝臓の状態を見る検査。
肝臓を通る血流の異常を疑う検査。
シャント血管そのものを探す検査。
それらを組み合わせて 診断していきます。
血液検査では、
何を見ているの?
門脈シャントが疑われる犬では、 血液検査から さまざまな情報を確認します。
ただし、 一般的な血液検査だけで シャント血管の位置まで 分かるわけではありません。
血球検査や血液生化学検査などから、 肝臓や全身の状態を確認し、 門脈シャントを疑う手がかりがないかを見ていきます。
門脈シャントではない」 と単純に判断できるとは限りません
どの検査結果から 門脈シャントを疑っているのか、 獣医師へ聞いてみましょう。
「胆汁酸が高い」と言われたら、
どう考えればいい?
門脈シャントを疑うときに、 胆汁酸検査が行われることがあります。
胆汁酸は、 肝臓や門脈循環の働きを評価するための 手がかりの一つになります。
状況によっては、 食事の前と後で採血し、 胆汁酸の値を確認することがあります。
ではありません
胆汁酸の異常は、 門脈シャント以外の肝胆道系疾患などでも みられることがあります。
胆汁酸は 「さらに詳しく調べる必要があるか」 を考える大切な情報の一つとして捉えましょう。
アンモニア検査は、
何のために行うの?
アンモニアは、 肝性脳症に関係する物質の一つです。
門脈シャントなどによって 肝臓での処理が十分に行われないと、 血液中のアンモニアが 高くなることがあります。
そのため、 状況によっては 血中アンモニアを測定することがあります。
愛犬にどんな症状があるかも一緒に見ます
ぼんやりする。
ふらつく。
異常行動がある。
けいれんがある。
こうした臨床症状と検査結果を 合わせて考えていきます。
門脈シャントなのに、
なぜ尿検査をするの?
門脈シャントでは、 尿の状態が診断の手がかりになることがあります。
特に、 尿酸アンモニウムを含む結晶や結石が みられることがあります。
また、 血尿や頻尿などの症状がある場合には、 膀胱や尿路の状態も確認します。
門脈シャントでは、 肝臓・神経・消化器だけでなく 泌尿器にも変化が現れることがあります。
超音波検査では、
何を探しているの?
腹部超音波検査では、 肝臓の大きさや形、 血管の走行、 血流などを確認します。
状況によっては、 異常なシャント血管を 確認できることがあります。
また、 膀胱や尿路結石など 関連する変化を一緒に確認できることもあります。
それだけで完全に否定できるとは限りません
疑いが強い場合には、 ほかの画像検査が検討されることがあります。
「CTを撮りましょう」と言われたら
門脈シャントでは、 異常な血管が どこからどこへつながっているのかを 正確に把握することが重要です。
そのため、 造影CTなどの画像検査が 提案されることがあります。
CTでは、 血管の走行や位置関係を より詳しく確認できることがあります。
「どこに、どのようなシャント血管があるのか」 という情報が重要になります
なぜシャント血管の「場所」が、
そんなに大切なの?
門脈シャントでは、 異常な血管が存在する場所や形によって 治療方法が変わることがあります。
肝臓の外にあるのか。
肝臓の中にあるのか。
一つなのか。
複数なのか。
血管の構造を把握することが 治療計画につながります
胆汁酸が高かった。
それだけで手術を決めるわけではありません
胆汁酸検査は とても大切な検査の一つですが、 異常な血管が どこにあるのかまでは分かりません。
そのため、 門脈シャントが疑われる場合には、 症状、 血液検査、 尿検査、 超音波、 CTなどの情報を組み合わせて 診断を進めます。
その両方から今の状態を整理します
手術を検討するとき、
その前に確認したいこと
先天性の単一門脈シャントなどでは、 外科的治療が検討されることがあります。
ただし、 「シャント血管があるから すぐ閉じればよい」 という単純なものではありません。
愛犬の全身状態、 肝性脳症の有無、 血液検査、 シャント血管の位置や構造などを確認し、 治療計画を立てます。
- 先天性ですか、後天性ですか?
- 単一シャントですか、多発シャントですか?
- 肝内ですか、肝外ですか?
- シャント血管はどこにつながっていますか?
- 手術が選択肢になるタイプですか?
- 手術前に内科的な管理は必要ですか?
- 手術までの食事について条件はありますか?
- 手術前に注意する症状は何ですか?
「うちの子は、 どのタイプのシャントで、 なぜこの治療を勧められているのか」
そこが分かれば十分です。
門脈シャントの検査について、
ここまでで覚えておきたいこと
- 一つの検査だけで門脈シャントを判断するものではない
- 一般的な血液検査から肝臓や全身状態を確認する
- 胆汁酸は門脈循環や肝機能を考える手がかりになる
- 胆汁酸が高いだけで門脈シャント確定ではない
- アンモニアは肝性脳症を考えるうえで参考になることがある
- 尿検査では尿酸アンモニウム結晶などが手がかりになることがある
- 超音波では肝臓・血管・血流などを確認する
- 必要に応じて造影CTなどでシャント血管を詳しく調べる
- シャント血管の場所や構造は治療方針を考えるうえで重要
- 手術を考える前に先天性・後天性、単一・多発などを確認する
「門脈シャントがあるか」だけを知ることではありません
どこに血管があるのか。
どのタイプなのか。
今の身体にどんな影響が出ているのか。
そして、 どの治療が選択肢になるのか。
そこまで整理するために、 必要な検査を組み合わせていきます。
門脈シャントの治療は、
「どのタイプなのか」で変わります
門脈シャントと診断されたからといって、 すべての犬が 同じ治療を受けるわけではありません。
先天性なのか。
後天性なのか。
単一のシャントなのか。
多発しているのか。
肝内なのか、 肝外なのか。
そして、 愛犬の全身状態や 肝性脳症などの症状も確認しながら 治療方針を考えます。
まず、 今の愛犬がどのタイプなのかを 確認することが大切です。
手術の前や、手術を行わない場合に、
内科的な管理を行うことがあります
門脈シャントでは、 肝性脳症などの症状を安定させるために 内科的な治療が行われることがあります。
手術を予定している犬でも、 まず身体の状態を整えてから 手術へ進む場合があります。
また、 シャントのタイプや全身状態などによっては、 内科的な管理を中心に 治療を続ける場合もあります。
「何もしない」という意味ではありません
薬、 食事、 排便、 神経症状、 血液検査などを確認しながら、 状態を管理していきます。
「ラクツロース」という薬は、
何のために使うの?
肝性脳症の管理では、 ラクツロースが使用されることがあります。
ラクツロースは、 腸管内の環境や排便に作用し、 アンモニアなど 肝性脳症に関係する物質が 身体へ吸収される量を減らす目的で 使用されます。
シャント血管そのものを 閉じる薬ではありません
肝性脳症などを管理するために 使用される薬の一つです。
使用量は、 便の状態などを見ながら 調整されることがあります。
自己判断で量を大きく変更せず 処方した動物病院へ確認してください
肝性脳症の管理では、
ほかの薬が使われることもあります
愛犬の状態によっては、 腸内でアンモニアなどがつくられる量を 抑えることなどを目的として、 抗菌薬などが使用されることがあります。
また、 嘔吐、 けいれん、 尿路の問題など、 その子に起きている症状に応じて 必要な治療が追加されることがあります。
自己判断で追加・中止・増減しないでください
サプリメントやハーブを使用したい場合も、 現在の薬との併用を含めて 獣医師へ確認してください。
先天性の単一シャントでは、
外科的治療が検討されることがあります
先天性の単一門脈シャントでは、 異常な血管を閉鎖して 門脈血が肝臓へ流れるようにすることを目的として、 外科的治療が検討されることがあります。
ただし、 シャント血管の場所や形、 肝臓の状態、 門脈系がどの程度発達しているかなどによって、 手術方法や治療計画は変わります。
本来肝臓へ向かうはずの血液を 肝臓へ流れる方向へ戻していくことです
なぜシャント血管を、
一気に完全閉鎖しないことがあるの?
長い間、 血液の多くがシャント血管を通っていた場合、 肝臓側の門脈系が 十分に発達していないことがあります。
その状態で シャント血管を急に完全閉鎖すると、 門脈系の圧が急激に高くなり、 身体に大きな負担がかかることがあります。
そのため、 シャントの状態によっては、 徐々に閉鎖していく方法が 選択されることがあります。
愛犬の身体が 新しい血流へ適応できるように、 安全性を考えて治療方法が選ばれます。
シャント血管を閉じる方法は、
一つではありません
シャント血管の位置や構造などによって、 外科的な治療方法は異なります。
徐々に血流を制限するための器具などが 使用される場合もあります。
また、 肝内シャントなどでは、 血管内から治療する方法が 選択肢になることもあります。
「なぜこの方法がうちの子に適しているのか」 を確認しましょう
シャントの場所。
血管の形。
愛犬の身体の状態。
それらによって 適した方法は変わります。
手術が終わったら、
それで治療終了とは限りません
手術後は、 全身状態や神経症状、 食欲、 排便などを確認しながら 経過を見ていきます。
また、 血液検査などを行い、 肝臓や門脈循環が どのように変化しているかを 確認していきます。
指示された薬・食事・再診を続けることが大切です
「手術をしたから、 今日から薬も食事管理も全部終了」 と自己判断しないでください。
手術後に特に注意したい、
神経症状
門脈シャントの手術後には、 まれではありますが、 神経症状が起こることがあります。
けいれん、 強いふらつき、 意識や反応の異常などがみられた場合には、 すぐに治療を受けた動物病院へ連絡してください
退院時には、 「どんな変化があれば すぐ連絡するのか」 を確認しておきましょう。
退院後は、
何を見ておけばいい?
- 食欲
- 食べた量
- 水を飲む量
- 嘔吐・下痢の有無
- 便の状態
- ぼんやり・ふらつきなどの神経症状
- よだれの増加
- 排尿の様子
- 元気や活動量
- 手術部位の状態
- 薬をきちんと飲めたか
日時と一緒に残しておきましょう
次回の診察で 経過を判断するための 大切な情報になります。
元気になっても、
再検査が大切です
手術後に元気や食欲が戻ると、 「もう治ったのでは?」 と感じるかもしれません。
しかし、 見た目の元気さだけでは 肝臓や門脈循環の状態までは分かりません。
獣医師の指示に従って、 血液検査などの 再評価を受けてください。
「次回は何を確認しますか?」 と聞いてみましょう
後天性の多発シャントは、
なぜ同じように閉じないの?
後天性の多発シャントは、 門脈圧が高くなった結果、 血液を逃がすために 身体がつくった血管です。
そのため、 先天性の単一シャントと同じように これらの血管を閉じると、 門脈圧をさらに高めてしまう危険があります。
シャント血管そのものを閉じるのではなく、 背景にある門脈圧亢進や肝疾患などを含めて 管理することが重要です
だからこそ、 「先天性なのか後天性なのか」 という診断が重要になります。
治療が始まったら、
ここまで覚えておきたいこと
- 門脈シャントの治療はタイプによって異なる
- 肝性脳症などを安定させるため内科管理を行うことがある
- ラクツロースなどが肝性脳症の管理に使われることがある
- 薬を自己判断で追加・中止・増減しない
- 先天性の単一シャントでは外科的治療が検討されることがある
- シャントを安全に徐々に閉鎖する方法が選ばれることがある
- 手術方法はシャント血管の場所や構造などによって異なる
- 手術後も薬・食事・再診について獣医師の指示を守る
- 術後のけいれんや強い神経症状はすぐ動物病院へ連絡する
- 元気になっても指示された再検査を受ける
- 後天性多発シャントは先天性単一シャントと治療の考え方が異なる
「シャントを閉じること」だけではありません
今の症状を安定させること。
肝臓へ流れる血液を 安全に増やしていくこと。
手術後の変化を見守ること。
必要な検査を続けること。
そして、 先天性なのか後天性なのかに合った 治療を続けること。
それらを一つずつ確認しながら 治療を進めていきます。
門脈シャントと言われたら、
タンパク質を減らせばいい?
門脈シャントについて調べると、 「低タンパク食」という言葉を 目にすることがあると思います。
しかし、 門脈シャントと診断されたすべての犬で、 タンパク質を一律に大きく減らせばよい というわけではありません。
タンパク質は、 筋肉や身体を維持するためにも 必要な栄養素です。
必要以上に制限すると、 筋肉量や栄養状態を 保ちにくくなることがあります。
「タンパク質をゼロに近づけること」ではなく、 今の愛犬に必要な量と内容を考えることです
肝性脳症の有無。
現在の治療。
体重や筋肉。
食欲。
そのほかの病気。
それらを確認しながら、 食事を考えていきます。
肝性脳症がある場合は、
食事も治療の一部として考えます
肝性脳症がある犬では、 食事内容について 獣医師から具体的な指示が出ることがあります。
その場合は、 インターネットで見つけた一般的な情報よりも、 今の愛犬に出されている指示を 優先してください。
自己判断で食事からタンパク質を 極端に除かないでください
ぼんやりする、 ふらつく、 異常行動があるなどの場合は、 食事だけで調整しようとせず 動物病院へ相談してください。
タンパク質は、
「量」だけでなく内容も考えます
食事について獣医師から タンパク質の調整を指示された場合には、 単純に量だけを見るのではなく、 食事全体のバランスを考えます。
門脈シャントや肝性脳症の状態によって、 適したタンパク質量やタンパク源は それぞれ異なります。
現在食べている食事を獣医師へ伝え、 どの程度のタンパク質調整が必要なのかを 確認しましょう。
一度にたくさん食べるより、
食事を分けた方がよいこともあります
愛犬の状態によっては、 一日の食事を 複数回に分けるよう 指示されることがあります。
一回に大量に食べるのではなく、 一日の必要量を分けて与えることで、 食べやすくなる場合もあります。
「一日何回に分けるか」も確認してみましょう
特に食後に症状が出やすい子では、 食事時間と症状の記録も 獣医師へ伝えてください。
食欲が落ちたら、
「好きなものを足す」前に原因を確認します
門脈シャントの子では、 食欲に波が出ることがあります。
ただし、 食べない理由が 単なる好き嫌いとは限りません。
- 吐き気はないか
- 嘔吐していないか
- 下痢をしていないか
- ぼんやりしていないか
- ふらつきがないか
- 薬を始めてから変化していないか
神経症状もある、 嘔吐が続くなどの場合は、 食事だけで様子を見続けず 動物病院へ相談してください
「肝臓に負担をかけない」ことと、
身体を痩せさせることは別です
食事制限を意識しすぎると、 必要なエネルギーや栄養まで 不足してしまうことがあります。
特に成長期の犬や、 もともと小柄な犬では、 体重だけでなく 身体の成長や筋肉も大切です。
- 体重が減っていないか
- 体重が増えるべき時期に増えているか
- 背中や腰まわりが細くなっていないか
- 後ろ足の筋肉が落ちていないか
- 食べる量が以前より減っていないか
検査値だけでなく 体重と筋肉も一緒に見ていきます
主食だけでなく、
おやつ・トッピングも食事の一部です
主食をきちんと調整していても、 おやつやトッピングの量が多ければ、 一日全体の栄養バランスは変わります。
特に食事について 獣医師から条件が出ている場合には、 主食以外も含めて確認しましょう。
- おやつ
- トッピング
- 人の食事から分けているもの
- 薬を包むために使う食品
- サプリメント
「フード以外に食べているもの」も 獣医師へ伝えてください
尿酸アンモニウム結石がある場合は、
尿路の管理も一緒に考えます
門脈シャントでは、 尿酸アンモニウムを含む 尿路結石がみられることがあります。
その場合には、 門脈シャントの管理だけでなく、 尿路の状態も含めて 食事や水分について指示が出ることがあります。
結石の種類と門脈シャントの両方を 獣医師へ確認してください
排尿しづらい、 血尿が出る、 何度もトイレへ行くなどの変化も 記録しておきましょう。
水分は、
自由に飲める状態を基本に考えます
水分について 獣医師から特別な指示を受けていない場合は、 新鮮な水を飲めるようにしておきます。
尿路結石などを一緒に管理している場合には、 水分摂取について 具体的な指示が出ることもあります。
それも診察時に伝えましょう
「肝臓にいい」というサプリは、
追加した方がいい?
門脈シャントについて調べると、 肝臓やアンモニア、 デトックスなどをうたう さまざまな商品が見つかると思います。
しかし、 門脈シャントは 異常な血管によって 血液が肝臓を迂回する病気です。
シャント血管そのものを 正常な血管へ戻すことはできません
また、 現在使用している薬や 肝臓の状態によっては、 自己判断で成分を追加しない方がよい場合があります。
使用を考えている場合は、 商品名、 原材料、 一日の使用量が分かるものを 獣医師へ見せて確認してください。
ハーブや自然由来のものも、
治療とは分けて考えます
「自然なものだから 肝臓にもやさしいのでは?」 と感じることがあるかもしれません。
しかし、 自然由来の成分にも 身体へ作用するものがあります。
「今の愛犬に安全に使える」は別です
特に治療薬を使用している場合や、 手術前後は、 自己判断で追加せず 獣医師へ確認してください。
手術前・手術後の食事は、
その時期の指示を優先してください
手術前には、 肝性脳症などを安定させるために 食事について指示が出ることがあります。
また手術後も、 すぐに普段通りの食事へ戻すとは限りません。
いつから。
何を。
どのくらい。
何回に分けて食べるのか。
退院時に確認しておきましょう。
門脈シャントの食事選びに迷ったら
「低タンパクと言われたけれど、 どの程度なのか分からない」
「食欲が落ちて、 今までの量を食べられなくなった」
「手術後、 どのように元の食事へ戻していけばいい?」
「尿路結石もあるので、 何を優先すればよいか迷っている」
そんなときは、 BIGWOODのコンシェルジュへ ご相談いただけます。
獣医師から受けている食事条件をもとに 毎日のごはんを一緒に整理します
門脈シャントのタイプや 肝性脳症の状態、 手術前後の管理などは、 動物病院で判断していただくことが大前提です。
そのうえで、 獣医師から指示されている食事条件、 現在の食欲、 体重、 食べている量、 おやつやトッピングなどを確認しながら、 食事面を一緒に整理していきます。
食事相談のとき、
分かる範囲で教えていただきたいこと
すべて分かっていなくても大丈夫です。
- 先天性か後天性か
- 肝内シャントか肝外シャントか
- 単一シャントか多発シャントか
- 手術を予定しているか、手術後か
- 肝性脳症について説明を受けているか
- 現在使用している薬
- 獣医師から食事について指示されている内容
- 現在の体重
- 最近の体重変化
- 現在食べているフードと一日の量
- 一日の食事回数
- おやつ・トッピング
- 食後に気になる変化があるか
- 尿路結石について指摘されているか
「動物病院ではこう説明されました」 というところから、 食事について一緒に整理していきます。
BIGWOOD コンシェルジュルーム
「門脈シャントと言われて、 今のフードを続けてよいか分からない」
「タンパク質について 獣医師から条件を言われた」
「食べる量が減って、 体重も落ちてきた」
「手術後の食事を どう戻していけばよいか迷っている」
そんなご相談だけでも大丈夫です。
獣医師から受けている 食事についての指示を確認しながら、 BIGWOODの商品について 一緒に考えさせていただきます。
受付時間 10:00〜17:00
門脈シャントの食事について、
ここまでで大切なこと
- 門脈シャントだからと一律にタンパク質を極端に減らさない
- 肝性脳症がある場合は獣医師から受けている食事指示を優先する
- タンパク質は量だけでなく食事全体のバランスを考える
- 必要に応じて一日の食事を複数回に分ける
- 食欲低下を単なる好き嫌いと決めつけない
- 体重だけでなく成長や筋肉の変化も見る
- おやつ・トッピングも一日の食事に含めて考える
- 尿酸アンモニウム結石がある場合は尿路の管理も一緒に考える
- サプリメントでシャント血管そのものを治すことはできない
- ハーブや自然由来のものも自己判断で追加しない
- 手術前後はその時点で受けている食事指示を優先する
今の愛犬に必要な食事条件を 一つずつ確認することが大切です
肝性脳症はあるのか。
食欲はどうか。
体重や筋肉は保てているか。
尿路結石はないか。
手術前なのか、 手術後なのか。
獣医師から どんな食事条件を伝えられているのか。
それらを一つずつ確認しながら、 無理なく続けられる毎日の食事を 考えていきましょう。
次の診察で、
確認しておきたいこと
門脈シャントでは、 血液検査の数字や血管の名前、 手術方法など、 初めて聞く言葉がたくさん出てくることがあります。
すべてを一度に理解しようとしなくても大丈夫です。
まずは、 今の愛犬について必要なことを 一つずつ確認していきましょう。
- 先天性ですか、後天性ですか?
- 単一シャントですか、多発シャントですか?
- 肝内ですか、肝外ですか?
- シャント血管はどこにつながっていますか?
- 肝性脳症はありますか?
- 胆汁酸やアンモニアの結果をどう考えますか?
- 尿酸アンモニウム結晶・結石はありますか?
- 手術が選択肢になるタイプですか?
- 今使っている薬は何を目的にしていますか?
- 食事について特別な条件はありますか?
- 今はどの程度運動して大丈夫ですか?
- 次回はいつ、何を検査しますか?
- どんな変化があれば予定を待たず受診すべきですか?
今気になっていることを スマートフォンなどに残しておき、 診察時に一つずつ確認していきましょう。
次の診察へ、
持っていくと役立つ情報
門脈シャントでは、 動物病院で行う検査だけでなく、 ご家庭で起きている変化も 大切な情報になります。
- 現在使用している薬の名前・量・回数
- 薬を飲ませた時間
- 現在食べているフードと一日の量
- 食事を与えた時間
- 一日の食事回数
- おやつ・トッピング
- 食後に症状が出たか
- ぼんやり・ふらつきなどが出た時間
- 嘔吐・下痢の記録
- 便の状態
- 排尿の回数や様子
- 血尿の有無
- 体重の記録
- 使用しているサプリメントやハーブ製品
安全に撮影できる場合には動画も役立つことがあります
ふらつき、 旋回するような行動、 ぼんやりしている様子などは、 診察時には見られないことがあります。
撮影より愛犬の安全を優先したうえで、 可能であれば記録しておくと 状態を伝えやすくなります。
毎日の記録は、
完璧につけなくても大丈夫です
門脈シャントでは、 症状に波がみられることがあります。
だからといって、 毎日細かな記録を 何ページもつける必要はありません。
まずは、
- 食べられた
- 薬を飲めた
- 元気があった
- 神経症状はなかった
- 嘔吐・下痢はなかった
- おしっこはいつも通り出た
といった簡単な記録でも構いません。
「いつもと違った日」です
何時に食べたのか。
その後、 何時ごろ変化したのか。
薬は飲めていたのか。
どのくらい続いたのか。
そうした情報が、 次の診察の大切な手がかりになります。
最後にもう一度。
予定を待たず相談したいサイン
門脈シャントでは、 肝性脳症や尿路の問題などによって、 急な変化が起こることがあります。
次の予約日まで待たず 動物病院へ連絡してください
- けいれんを起こした
- 意識や反応がおかしい
- 強くふらつく、立てない
- 急に見えていないような行動をする
- 頭を壁などへ押しつけるような異常行動がある
- 急にぐったりした
- 嘔吐や下痢が続く
- まったく食べられない
- 尿を出そうとしているのに出ない
- 強く痛がる
- 手術後にけいれんや強い神経症状が出た
- 急激に状態が悪くなった
夜間や休診日に変化した場合に どこへ連絡・受診するかも、 あらかじめ確認しておくと安心です。
最後に。
「門脈シャント」という病名だけで見ないこと
門脈シャントと診断されると、 「肝臓に血液が行っていない」 「毒素が身体に回る」 「手術が必要かもしれない」 といった説明を聞き、 不安になることもあると思います。
でも、 門脈シャントには いくつもの違いがあります。
先天性なのか、 後天性なのか。
単一なのか、 多発なのか。
肝内なのか、 肝外なのか。
肝性脳症があるのか。
手術が選択肢になるのか。
「今の愛犬はどの状態なのか」を 一つずつ確認していきましょう
動物病院で分かる 血液や血管の状態。
ご家庭だから分かる 食欲や行動の変化。
その両方を合わせることで、 今の愛犬の状態を より詳しく獣医師へ伝えることができます。
今日食べられた。
薬を飲めた。
今日はふらつかなかった。
おしっこもいつも通り出た。
そうした日々の小さな変化も、 大切な情報です。
今必要な治療と、 今日ご家庭でできることを 一つずつ確認していきましょう。
このページは、 犬の門脈体循環シャント(門脈シャント)について、 検査・治療中の暮らしや食事、 ご家庭での見守りを考えるための 一般的な情報をお伝えするものです。
門脈シャントの診断、 先天性・後天性の判断、 肝内・肝外の判断、 血液検査や胆汁酸・アンモニアの判定、 手術適応や手術方法の決定、 薬の開始・中止・増減などを ご家庭だけで判断するためのものではありません。
また、 門脈シャントの食事は、 肝性脳症の有無、 成長段階、 体重や筋肉量、 尿路結石、 手術前後などによって 必要な条件が異なります。
タンパク質を含めた食事内容を 自己判断で大きく変更せず、 現在治療中の場合は かかりつけの獣医師から受けている指示を 優先してください。
けいれん、 意識や反応の異常、 強いふらつき、 急な異常行動、 尿が出ないなどの変化がみられた場合には、 次回の予約日を待たず 動物病院へ相談してください。






